メキシコ麻薬カルテルに狙われる豪州、アジアの組織しのぐ最大供給源に

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(CNN) オーストラリア連邦警察などは、覚醒剤などに用いられる薬物メタンフェタミンの同国への流入について北米の麻薬密輸組織が東南アジアのライバル組織をしのぐ最大の供給源に浮上したとこのほど報告した。

豪州の「市場」に触手を伸ばすメキシコの麻薬カルテルの動きは強まっているとも警告した。連邦警察の声明によると、2022~23年の会計年度で押収した北米から豪州向けの覚醒剤は23.6トンだった。

豪州内で見つかった覚醒剤の少なくとも70%はメキシコ、米国とカナダに由来するとも推定した。警察はメキシコが出所のものの詳しい量については触れなかった。

半面、東南アジアに起因するものは15%以下に落ち込んでいた。

豪州内で消費が最大の違法薬物は依然、圧倒的に大麻だが、豪州健康福祉研究所によると、覚醒剤やこれも覚醒剤に使われる薬物アンフェタミンに手を伸ばすより若い年齢層の薬物利用者が増えている。豪州犯罪情報委員会は薬物汚染を汚水検査で解明する対策を進めているが、同国内で最も使用されている薬物で2番目に多いのは覚醒剤と見ている。

豪州内に流れていた覚醒剤の大半は長年、東南アジアのタイ、ラオスとミャンマーの3カ国の国境が交じる密林地域「ゴールデントライアングル」に根差していた。ここで密造されて日本、豪州やニュージーランドなどアジア太平洋の主要国に運ばれる仕組みとなっていた。

豪州の連邦警察幹部によると、同国でメキシコのものの流入が増え出した背景には密輸の足跡を隠す巧妙な手口とライバル組織より安い価格面での強みがある。メキシコのものの1キロは卸値で1000豪州ドル(約9万9000円)で、ミャンマーのものと比べ3分の1以下の水準だという。

同幹部によると、メキシコ産がはびこってきた要因には、連邦警察と他国の警察組織が2020年10月から21年1月にかけてアジア太平洋地域で麻薬密輸を牛耳っていた大規模な組織犯罪の幹部を逮捕、訴追した成果も絡んでいる。

一方で豪州の首都特別地域は昨年、中毒性の高い違法薬物の少量の所持なら罰しない措置を導入。摘発を受けた住民らには罰金が科され、投獄の代わりにカウンセリングを受ける選択肢が用意された。クイーンズランド州でも刑事罰を問う前に警告などを組み合わせた3段階の対策が採用された。

ただ、これらの動きが麻薬密輸組織の進出を誘い出す可能性につながるとの指摘もある。

メルボルン大学の犯罪学者は、豪州内で北米大陸からの覚醒剤などが増えていることについて、欧州への密輸ルートの運用がロシアによるウクライナ侵略や他の要因で停滞している事情に言及。「他の市場での変化を受けメキシコのものが豪州内で投げ売りされているかもしれない」ともつけ加えた。

北米を発端とする薬物は、豪州の隣国ニュージーランドにも入り込んでいる。同国では昨年、カナダ発で届いたメープルシロップの容器に覚醒剤が隠されている事件が発覚。末端価格は1億5000万米ドルで、ニュージーランド史上では最大の覚醒剤摘発となっていた。このシロップの輸送先は、同国の他、豪州や太平洋地域の周辺国だったという。

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