戦況は膠着、長期の消耗戦に突入 ウクライナ軍総司令官

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戦闘によって破損した建物=ウクライナ・イジューム/Bram Janssen/AP

戦闘によって破損した建物=ウクライナ・イジューム/Bram Janssen/AP

(CNN) ウクライナ軍のザルジニー総司令官は5日までに、国内の戦況は膠着(こうちゃく)状態にあり、ロシアに有利な方向へ傾く長期の消耗戦の段階に入ったとの判断を示した。

英誌「エコノミスト」への長めの寄稿文や同誌との会見で述べた。この中で「第1次世界大戦がそうだったように、技術的な進歩の影響で我々は手詰まり状態に陥っている」と説明。「すごい打開策が出てくる可能性は非常に少ない」と予想し、代わりに大きな損失と破壊が相互に生じる均衡状態が続くだろうとした。

総司令官は、ロシアは同国軍が被っている多大な人的被害を気にもとめていないと指摘。
西側の支援国がウクライナへ提供した兵器や複数の旅団を新たに投入しても戦況に大きな変化はなかったともした。

ロシア軍の深く、堅固な塹壕(ざんごう)で築かれた防御線の克服は極めて困難とも認め、大きな被害を犠牲にして密度が高い地雷原を切り抜けても、ロシア軍は遠隔操作でまた地雷原を復活させるとした。

空軍戦力でウクライナは劣勢にあり、これが地上戦での前進を妨げている現状にも言及。ロシアは今年末に新たな飛行大隊を配備する可能性があるともした。

ザルジニー氏は、旧ソ連が第1次世界大戦を材料にまとめた「要塞(ようさい)化された防御線の突破」と題する軍事分析にも触れ、ウクライナの現在の戦場との類似は著しいとも述べた。

戦況の膠着の根底には、ドローン(無人機)や他の偵察技術の利用があるとも主張。「当たり前の事実として、我々が敵の行動全てを把握し、敵が我々の行動全てを知っているという状況がある」と説いた。

ロシア軍は学習し、順応もしていると強調。後方支援網を改善し、工場は新たな兵器を続々と製造し、電子戦能力ではウクライナ軍の精密誘導兵器を弱体化させているとし、「ロシアはしばらくの間、兵器、装備、ロケット弾や弾薬で優位を維持するだろう」とも認めた。

その上でこの残忍な消耗戦を勝ち抜くには質的な飛躍が必要と強調。エコノミスト誌への寄稿文では前進を果たすための5つの要件も掲げた。地上作戦を支援する制空権の掌握、地雷原の突破、効力を高めた対砲兵戦闘、必要な予備役の人材の手当てと訓練に電子戦能力の構築が含まれた。いずれもその場しのぎの措置では間に合わず、全てで支援国に新たな協力を求めることになるともつけ加えた。

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