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ワグネルがスーダンの準軍事組織に兵器供与、証拠浮上 CNN EXCLUSIVE

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リビア北部アルジュフラ航空基地にいるロシアのイリューシン76輸送機=16日/Maxar Technologies

リビア北部アルジュフラ航空基地にいるロシアのイリューシン76輸送機=16日/Maxar Technologies

ロンドン(CNN) ロシアの民間軍事会社ワグネルがスーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」に対して、国軍との戦闘を支援するためにミサイルを供与していることが分かった。スーダンや地域の外交筋がCNNに明らかにした。

スーダンではRSFのダガロ司令官と、軍事指導者で国軍トップでもあるブルハン将軍が権力争いを繰り広げている。複数の情報筋によると、供与された地対空ミサイルはRSFの戦闘員やダガロ氏にとって大きな追い風になっているという。

隣国リビアを捉えた衛星写真には、ワグネルの基地での活動が異常に増加している様子が写っており、こうした主張を補強している。リビアではワグネルの支援を受ける反政府のハフタル将軍が国土の広い部分を支配する。

ワグネルはウクライナでのロシアの軍事作戦で公然と重要な役割を果たし、残虐行為に及んだとの批判を繰り返し受けている。アフリカでは、ワグネルはロシアの影響力の強化や資源の掌握に関与してきた。

ダガロ氏とブルハン氏は民政復帰をめぐる交渉で主導権争いを展開していたが、今や交渉は崩壊し、スーダンはここ数十年で最悪規模の暴力に見舞われている。

戦闘で数百人が死亡したほか、数百万人が電気や水、食料を奪われている状況だ。

スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」のダガロ司令官=2019年10月21日/Samir Bol/Reuters
スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」のダガロ司令官=2019年10月21日/Samir Bol/Reuters

衛星写真からわかる活動の増加

CNNやワグネルの活動を追うオープンソース情報の調査団体が分析した衛星画像には、ロシアの輸送機がハフタル氏の押さえるリビアの重要空港2カ所を行き来する様子が写っている。この空港はワグネルも使用している。

ハフタル氏本人はどちらの勢力にも肩入れしていないと主張するが、情報筋は、ハフタル氏がRSFを支援していると指摘する。ハフタル氏の基地でワグネルの活動が増えたことに加え、スーダンやこの地域の外交筋の話も考慮すると、ロシアとハフタル氏は戦闘勃発前からRSFへの支援の準備を進めていた可能性がある。

リビア北東部のアルカディム航空基地、その南西にあるアルジュフラ航空基地、シリア沿岸のラタキア航空基地をイリューシン76輸送機は行き来した/Mapbox/OpenStreetMap
リビア北東部のアルカディム航空基地、その南西にあるアルジュフラ航空基地、シリア沿岸のラタキア航空基地をイリューシン76輸送機は行き来した/Mapbox/OpenStreetMap

衛星画像やオランダに拠点を置くオープンソースの専門家によると、イリューシン76輸送機の動きは、スーダンでの衝突が始まる2日前の13日に増え始め、少なくとも19日までその状態が続いた。

この輸送機は13日、ハフタル氏が押さえるリビア北部のアルカディム航空基地からロシアの大規模航空基地があるシリアの沿岸都市ラタキアに飛んだ。翌日にはラタキアからアルカディムに帰還。その翌日には同じくハフタル氏が押さえるリビア北部のアルジュフラ航空基地に飛び、隔離されたエリアに駐機したが、前述のオランダの専門家によれば、これはかなり異例なことだという。スーダンでの軍事衝突が発生したのはこの日だった。

輸送機は18日に再びラタキアに飛び、その後アルカディムに帰還してからアルジュフラへと再度飛行した。その日、ロシアがスーダン北部にあるダガロ氏の部隊の陣地に地対空ミサイルを空から供与したと同地域やスーダンの情報筋は語る。

ダガロ氏は長年、ロシアのスーダンへの関与から大きな恩恵を受け、ロシアの兵器や訓練の主な受け手になってきた。

アルカディム航空基地にいるイリューシン75=18日/Maxar Technologies
アルカディム航空基地にいるイリューシン75=18日/Maxar Technologies

CNNの2022年7月の調査では、ロシアとスーダン軍指導部の関係が深まっていることが判明。スーダン軍指導部は軍事支援や政治支援と引き換えに、同国が豊富に埋蔵する金へのアクセスをロシアに付与した。この関係が本格化したのは14年のクリミア侵攻後で、ロシアは西側の制裁を回避するためアフリカの金に目を付けた。

22年のウクライナ侵攻やその後の相次ぐ制裁を受け、ロシアがスーダンから金を持ち出す動きが加速した。軍事政権を支える動きもさらに強まり、スーダン国内でのワグネルの活動が増加する結果になった。

スーダン軍とRSFの戦闘で黒煙が上がるスーダンの首都ハルツーム=19日/Ahmed Satti/Anadolu Agency/Getty Images
スーダン軍とRSFの戦闘で黒煙が上がるスーダンの首都ハルツーム=19日/Ahmed Satti/Anadolu Agency/Getty Images

ブルハン氏やスーダン軍も以前、ロシアから支援を受けていた。ブルハン、ダガロ両氏は今回の戦闘が始まる前は共同歩調を取っており、19年と21年には共にクーデータを主導した。両氏はまた、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアの支援も以前受けていた。

UAEとサウジアラビアはスーダンでの衝突の余波がより広い地域に及ぶことを懸念し、スーダンに事態の鎮静化を求めている。

それでも、外国勢力はこの紛争への介入を既に始めている。エジプトはブルハン氏と長年の関係があり、権力闘争でひそかに同氏を支援していたとスーダンや地域の外交筋は語る。衝突が発生した日、スーダン北部の軍の空港にいたエジプト軍兵士らが身柄を拘束され、数日後に解放される一幕もあった。

RSFはCNNに寄せた声明で、ロシアやリビアから支援を受け取っていることを否定。ハフタル氏やワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏のコメントは得られなかった。

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