大気汚染で心停止のリスク増大、基準値以下でも 豪研究

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心停止のリスクは大気汚染にさらされると増大するとした研究結果が報告された/David McNew/Getty Images North America/Getty Images

心停止のリスクは大気汚染にさらされると増大するとした研究結果が報告された/David McNew/Getty Images North America/Getty Images

(CNN) 心筋梗塞(こうそく)などによる心停止のリスクは大気汚染にさらされると増大し、たとえ汚染物質の濃度が基準値以下でも決して安心できないとする研究結果が報告された。

豪シドニー大学医学部の根岸一明教授らが日本で2年間に記録された救急搬送と大気汚染のデータを分析し、医学誌ランセットに発表した。チームによれば、この分野で過去最大規模の研究とされる。

チームは健康への影響が指摘される微小粒子状物質「PM2.5」に注目。2014年1月から15年12月の間に外出先で心停止に陥った症例24万9372件について、当時のPM2.5濃度との関係を調べた。

その結果、PM2.5が1立方メートル当たり10マイクログラム増えるごとに、心停止のリスクが1~4%上昇していたことが分かった。

65歳以上の患者ではさらに強い相関関係がみられた。一方、男女間の比較ではほぼ差がなかったという。

症例のうち98.5%は、日米両国で「汚染なし」とされる1立方メートル当たり35マイクログラムの基準以下の環境で起きていた。

世界保健機関(WHO)が定める25マイクログラムの基準以下で起きた症例も92%近くを占めた。

根岸教授はこの結果について、大気汚染に安全なレベルはないことが裏付けられたと主張。自動車の排気ガスや森林火災などで大気汚染が悪化するなか、汚染が呼吸器疾患や肺がんだけでなく、心血管疾患に及ぼす影響も考慮する必要があると強調した。

教授らの論文は、現行の環境基準を見直して、汚染物質の濃度をできる限り下げる戦略を考えるべきだと結論付けている。

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