NASA、アルテミス計画の大幅延期を発表 月面着陸は26年以降に

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ケネディ宇宙センターでクレーンにより持ち上げられる宇宙船「オリオン」の圧力容器/Glenn Benson/NASA

ケネディ宇宙センターでクレーンにより持ち上げられる宇宙船「オリオン」の圧力容器/Glenn Benson/NASA

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は9日、アポロ計画以来の有人月面着陸を目指すアルテミス計画の大幅な延期を発表した。来年予定されていた着陸ミッションの「アルテミス3」は、2026年9月以降になる見通しだ。

遅延の主な理由としては、飛行士を月周回軌道から月面へ運ぶ米民間宇宙企業、スペースXの宇宙船「スターシップ」の開発が遅れるとの見通しが挙げられる。スターシップは昨年、2回の試験飛行がいずれも爆発で終わった。

スペースXの幹部によると、同社は今後、スターシップを地球軌道に安全に投入し、さらに軌道上で推進剤を補給する手順を確立する必要がある。補給のためにはタンカー型のスターシップを少なくとも10機、打ち上げることになる。3回目の試験飛行に向けた準備と承認手続きは、2月までに完了するという。

NASA当局者らはさらに、月面で飛行士らが着用する宇宙服の開発も遅れるとの見通しを示した。

NASAの監察官らはかねて、スターシップと宇宙服の開発が原因でアルテミス3が延期される可能性を指摘していた。

アルテミス計画では、すでに第1弾として無人飛行試験の「アルテミス1」が実施されたが、NASAは9日、今年11月に有人の月周回飛行を予定していた第2弾「アルテミス2」についても、目標を来年9月に先送りすると発表した。

CNNがNASA当局者らの話としてすでに伝えた通り、アルテミス2が延期された背景には、飛行士4人が搭乗する新型宇宙船「オリオン」の耐熱シールドの不具合などがある。

28年に予定される第4弾の「アルテミス4」では、月の軌道上に設置する宇宙ステーション「ゲートウェー」に飛行士を送り込む予定。この日程に変更はないという。

同じく有人月面着陸を目指すライバルの中国は、すでに無人探査船を世界で初めて月の裏側に着陸させ、30年までには飛行士を着陸させると表明している。

これに対してNASAのネルソン長官は9日、「中国は米国より前に着陸したいと考えているようだが、そうなるとは思わない」と言明した。

アルテミスの延期発表に先立ち、NASAが民間4社に委託している商業月面輸送サービス(CLPS)計画もトラブルに見舞われた。

8日には科学実験装置などを搭載する民間初の着陸船として打ち上げられた米アストロボティック「ペレグリン」で、数時間後に異常が発生。月に到達する前に推進剤が切れる事態が予想され、同社が対応を検討している。

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