ANALYSIS

少子化対策に巨額を投じる韓国政府、それでも子育て支援にはまだ足りず

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出生率世界ワースト、少子化問題に苦慮する韓国

韓国・ソウル(CNN) 韓国ではベビー用品フェアの季節が巡ってきた。広々としたカンファレンスホールで開催される大盛況のイベントでは、数百人の業者が出産を控えた保護者に売り込みをかけている。これから生まれてくる赤ちゃんのために望みうるあらゆるものや、まさか必要になるとは思いもしないような品々を。

だがこの業界は縮小し、顧客層も先細りしている。

つい先日、韓国は出生率世界ワースト1の記録を更新した。11月に公表された数字を見ると、韓国女性が一生涯に産む子どもの人数の平均は0.79にまで減少している。

これは人口の安定維持に必要な2.1という数字をはるかに下回る。出生率が低下している他の先進国と比べても低い。ちなみに米国では1.6、日本は国内過去最低の1.3だった。

高齢化が進み、年金制度を支える労働者の不足が懸念される国にとっては厄介な問題だ。

原因としてよく上がってくるのが経済的要因だ――不動産価格の高騰、教育費、高まる経済不安などで、若者が家庭を持つのを先延ばしにしていると言われている。だが歴代政府がどんなに予算を投じても、政府の力が及ばなくなっていることはすでに明らかだ。

批判的な人々は経済以上に根深い問題があることの証しだとして、政策転換が必要だと言う。そうした意見に政府が耳を貸すかどうかはまた別の話だ。

バラまき政策

韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は9月に保育園を訪問した際、過去16年間に人口増加対策として2000億ドル以上(現在のレートで約27兆円)が投じられてきたことを認めた。

とはいえ5月の大統領就任以来、尹政権は問題解決の糸口を見いだせず、同じような政策を続けている。協議委員会を立ち上げ、新生児にさらなる財政支援を約束する以外に手だてがないのが実情だ。政府によれば、1歳未満の子どもを持つ親への月額支給額は2023年には現行の30万ウォン(約3万円)から70万ウォンに、24年には100万ウォンに増額される予定だ。

問題に対する尹大統領の理解について、前任者と大して変わらないのではないかとする懐疑的な世論は、大統領本人の度重なる不適切な発言で強まるばかりだ。

保育園を訪問した際、尹大統領は赤ちゃんや幼児が自宅で世話されていないことに驚きを示した。生後6カ月の赤ちゃんは歩けるのが普通だとほのめかす発言もあったとされ、世間知らずだという批判を招いた(赤ちゃんが歩き始めるのは平均して生後12カ月ごろ)。

現在のバラまき政策はあまりにも一面的で、むしろ一生涯を通じて子どもを継続して支援することが必要だというのが専門家の意見だ。

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