チェルノブイリ原発、電力喪失 ロシアに占拠され2週間

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(CNN) 1986年に世界最悪の原発事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所が電力網から切り離され、外部からの電源供給が途絶えた。ウクライナの電力会社ウクルエネルゴと原子力発電公社エネルゴアトムが9日に明らかにした。

同原発は2週間前、ロシア軍に占拠されていた。

電力喪失の影響について国際原子力機関(IAEA)はウクライナから、チェルノブイリは電力を喪失したが、原発の安全性に「重大な影響はない」との説明を受けたとしている。

「使用済み燃料貯蔵施設に関しては、プール内に十分な量の冷却水があり、電力の供給がなくても使用済み燃料からの効果的な熱除去を維持できる。ディーゼル発電機とバッテリーによる非常用の予備電源もある」。IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は声明の中でそう説明した。

IAEAはウクライナ原子力規制当局からの情報として、チェルノブイリ原発は現在は稼働しておらず、放射性物質の処理も中断されていると説明した。敷地内には廃炉になった原子炉と放射性廃棄物施設がある。

それでも電力を喪失すれば、放射性物質の安全にかかわる事態がさらに悪化する公算が大きいとグロッシ事務局長は予想している。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相や同国の治安・情報機関は、電力供給が途絶えたチェルノブイリ原発は、放射線漏れの恐れがあると警告した。

クレバ外相は9日、「予備用のディーゼル発電機は48時間、チェルノブイリ原発に電力を供給できる容量がある。その後は使用済み核燃料貯蔵施設の冷却システムが停止し、放射線漏れが差し迫る」とツイートした。

ウクライナの情報機関も、チェルノブイリの立ち入り禁止区域の「全ての核施設」で停電が起きており、もしポンプの冷却ができなければ「核の放出」が起こり得るとの見方を示した。

ディーゼル発電機が48時間以上持ちこたえられるかどうかについては、クレバ外相も情報機関もコメントしていない。

IAEAは8日、チェルノブイリとの連絡が途絶え、安全モニターシステムからのデータが届かなくなったことを明らかにしていた。

チェルノブイリ原発では、ロシアに占拠されて以来、2週間にわたって出られなくなっている職員約210人についても懸念が浮上している。グロッシ事務局長によると、職員はシフトの交代もできず、24時間態勢で働き続けている。

グロッシ氏は「チェルノブイリ原発の状況は、特に放射性物質の安全性、および過酷な環境で施設を管理する職員にとって、日増しに悪化している」と述べ、「実質的に同原発を制圧している勢力に緊急要請を繰り返す。内部の放射線防護手順を順守し、職員の安全な交代を促し、安全確保のための重要な措置を講じてほしい」と訴えた。

ウクライナ国内にある原子炉15基のうち、現在は8基が稼働している。そのうち2基がある欧州最大のザポリージャ原発もロシアに制圧された。ウクライナの原子力規制当局は、放射線量の値は平常なようだとIAEAに説明していた。

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