再登板の安倍首相、日本と自身の復活に取り組む

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中国海軍が保有する潜水艦。周辺海域における領有権問題で各国との緊張が高まっている

中国海軍が保有する潜水艦。周辺海域における領有権問題で各国との緊張が高まっている

安倍首相は日本経済の再生、今夏の参議院議員選挙での勝利、軍備の制約となっている憲法の改正実現などを目指している。6年前の第1次政権では政局の行き詰まりや経済対策に対する失望が広がった経験を踏まえ、今回は日本の復活に向けてしっかりとした取り組みをみせている。日本銀行に対しては2%のインフレ目標設定を要求し、国の支出で10兆3000億円規模の緊急経済対策も発表した。外交では、外相らによる東南アジアや豪州の歴訪や、韓国の朴新政権に向けた特使の派遣を行った。

このような相次ぐ外交攻勢は経済と安全保障上の懸念から行われている。日本企業は東南アジアの成長を見込んで多額の投資を行ってきた。安倍首相はパートナーの国々に対して、日本は引き続き世界の主要なプレーヤーであると安心させようと模索している。09年に政権を獲得した民主党の鳩山首相は、中国に対し融和的な姿勢で臨んだが戦略的には失敗だった。

尖閣諸島を巡る緊張は、安全保障上の懸念を高めるだけではなく、中国の急成長に大きな役割を果たしてきた両国の経済関係も冷え込ませた。

東シナ海の尖閣諸島での中国による海と空からの活動は、日中間の安全保障上の懸念を増大させ、経済的な関係も破壊してきた。日本企業はこれまで中国の経済成長に大きな役割を果たし、今後もそれは予想される。だが現在の両国関係を見ると、それは以前よりも小さなスケールになるだろう。この点、ASEANは域内総生産で中国の3分の1以下だが、資源は豊富で成長余力も大きく、日本にとっては中国における政治リスクに対する保険となり得る。

本記事はテンプル大学のアジア研究学科ディレクター、ジェフリー・キングストン教授によるものです。記事における意見や見解はすべてキングストン氏個人のものです。

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