(CNN) 戦争の歴史は人類の歴史と密接に絡み合っている。不幸にも戦争は歴史上珍しい出来事ではないが、依然として人々の心に最も深い傷を残す経験のひとつであり、当事者となった国家や国民はこれ以上ないほどの苦痛を味わう。
従って、武力紛争やその中で戦った人々の記憶を保存するため、世界中で博物館が設立されてきたのも不思議なことではない。以下では、こうした博物館の中で特筆すべきものを挙げる。
1.英帝国戦争博物館(ロンドン)
英帝国戦争博物館(IWM)は1917年の設立。まだ第1次世界大戦が続いていた時期である。この種の博物館では世界有数のものとして今年、設立100周年を迎えている。
当然戦争という主題に焦点を当ててはいるものの、スタッフは同館を軍事博物館とはとらえていない。少なくともその言葉の持つ、従来の意味においては。
同館の上級学芸員は「IWMロンドンとは社会史の博物館であり、近代以降の紛争が前線から銃後に至る社会全体にどのような影響を与えてきたのかを探求している。実際の物や芸術作品、生存者へのインタビュー、書簡、日記などの豊富なコレクションを使い、当時の人々の説得力あふれる物語を提示している」と説明する。
2.米国立第1次世界大戦博物館(ミズーリ州カンザスシティー)
米国の第1次大戦参戦から今年で100周年を迎えるなか、この博物館は特別な重要性を帯びている。2014年には、米連邦議会により同大戦に関する国立博物館に指定された。
同館のルーツは終戦直後に一般の寄付で建設された記念館にある。第1次大戦に関する世界で2番目に古い博物館となっているだけでなく、一般からの全額出資で建設された博物館でもある。
館長は「我々は第1次大戦の博物館の中でも、コレクションの多様性において非常にユニークな存在だ。網羅的な収集手法により、全交戦国から7万5000点以上の所蔵品を集めている。米国に起きた出来事に特化しているわけではない」と話す。
3.英王立海軍博物館(イングランド・ポーツマス)
英王立海軍博物館(NMRN)は数世紀来の高い評価にたがわず、海軍や軍事にまつわる問題に興味のある人すべてを喜ばせること請け合いだ。
博物館はいくつかの施設にまたがっている。王立海兵隊博物館はNMRNの一部だが、一般向けギャラリーは現在閉館中。20年春にポーツマス造船所で新博物館が開館する見通しだ。
このほか、ポーツマス以外に位置する分館にはゴスポートの王立海軍潜水艦博物館、サマセット州ヨービルトンの艦隊航空博物館、ベルファストのHMSキャロラインなどがある。
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次回「戦う国民の記憶、今に伝える 世界の軍事博物館12選<2>」は12月27日公開