日本は移民なしで生き残れるか<2> 閉ざされた扉

2017.11.24 Fri posted at 18:00 JST

東京(CNN) こうした日本の閉鎖的な姿勢は今に始まったことではない。日本は過去に「鎖国」していた時代もある。

日本は鎖国をしていた1641年から1853年までの間、国民の出国と外国人の入国を禁じた。しかし、中国とオランダの商人だけは九州・長崎の港への出入りを許された。

また日本は、1955年から1973年までの高度経済成長期も外国人労働者に頼らなかった。ただ、名城大学法学部教授で移民の専門家である近藤敦氏によると、1980年代の終わりに一度だけ、人手不足の悪化が懸念され、外国人労働者の受け入れの可能性が議論されたことがあるという。

そして1988年以降、厚生労働省(1988年当時は労働省)は高度な技能や能力のあるごく少数の外国人を歓迎してきた。また1990年代には、日系人(外国に移住した日本人の子孫)を対象とした特別なビザ制度で日本への帰国を促し始めた。

しかし、未熟練労働者に対しては依然として扉は閉ざされたままだ。

安倍首相はこれまで、2020年の東京オリンピックで使用する建物の建設に携わる「外国人技能者」の必要性に言及してきたが、2014年4月に開催された会議で、これを移民政策の実施と誤解されてはならないと述べた。

また外国人技能実習生の受け入れプログラムも厳しい批判にさらされている。

このプログラムでは、主に中国や東南アジア出身の労働者が、日本で農業や製造業に従事するために来日する。各労働者が母国に持ち帰れる技能を習得するのが目的とされるが、専門家からは、一部の外国人労働者が搾取されたりするなどの批判の声が上がっている。

移民の権利を求めて闘ってきた鳥井一平氏は、来日を希望する外国人肉体労働者向けのビザがあれば日本の人手不足は解消すると主張する。

当局の試算によれば、日本の総人口は2060年にはおよそ8674万人になる

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の事務局長を務める鳥居氏は、政府は低技能の外国人労働者たちが日本人と同じ権利を得られる長期的な移民戦略を策定せず、彼らの一時滞在を可能にする「裏口」的措置を選択し続けていると批判する。

また外国人技能実習プログラムについても、外国人労働者は結局単純な職にしか就けず、母国に持ち帰れる技能など習得できないと批判している。また鳥居氏は、外国人留学生に週28時間以下の労働を認める措置についても単なるごまかしと指摘する。

しかし法務省の広報担当者は、政府は人手不足解消のために裏口政策を用いたり、不法移民を容認したりしていない、と鳥居氏の主張に反論する。

広報担当者はさらに、難民認定の申請が不法移民らに悪用されているとし、難民申請を行った人の大半は本当の難民ではなく、それらが本物の難民申請の処理が遅れる原因となっていると指摘する。

次回「日本は移民なしで生き残れるか<3> 現場の声は」は11月25日公開

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