(CNN) 「彼らは彼女を思い通りに操るために、彼女の頭部の最も繊細な部分に何度も留め金を取り付けた」
タイのプーケット島にできた初のゾウ保護施設、プーケット・エレファント・サンクチュアリ(PES)の共同創設者ルイーズ・ロジャーソン氏はこのように語り、施設内にいる盲目のメスのゾウ、ガウ・タが、救出されるまで人間の手でどれほどひどい扱いを受けていたかを説明する。
「われわれがPESを設立するまで、この島には高齢のゾウ、病気のゾウ、負傷したゾウ、疲労したゾウ、働き過ぎたゾウたちが行く場所はなく、彼らの終のすみかはなかった」「彼らは死ぬまで働かされていた」
美しい海岸とのどかな熱帯風景で知られるタイ最大の島、プーケット島には、ここ数十年間に数百万人の旅行者が訪れ、その多くは、各観光地に十数カ所あるトレッキングキャンプでゾウに乗るアトラクションを楽しむ。
島中の丘に点在するキャンプでは、わずかな料金でゾウの背中に乗って15分間散策できる。
旅行者たちはゾウの背中に取り付けられた硬い竹製の座席に座る。ゾウの首にはゾウ使いが乗り、スパイクの付いた棒でゾウを操る。
PES設立の目的は、こうしたアトラクションで酷使されて健康を害したゾウの救出並びにゾウが味わう苦痛の実態を人々に広めることにある。
ゾウの魂を打ち砕く
PESが提供するツアーの参加者はまず、タイ語で「(精神を)打ち砕く」という意味のパジャーンと呼ばれる陰鬱な調教について解説したビデオを視聴する。この調教はゾウを人間に服従させる目的で行われる。
それは赤ちゃんゾウを母ゾウから引き離すところから始まる。母ゾウはこの過程で殺されることも多い。
その後、子ゾウたちは人間に服従するように訓練されるが、その過程で狭い空間に閉じ込める、殴る、睡眠を奪う、餌を与えないなどの虐待が行われる。
その結果、ゾウはおとなしく従順になるが、一方で魂は粉々に打ち砕かれている。
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次回「魂に安らぎを、タイのゾウ保護施設を訪ねる<2> 感情の動物」は8月20日公開