違法データを見つけ出せ、米警察の「ポルノ探知犬」<2> 頼れる相棒の条件とは

電子記憶媒体の探知犬、URL(アール)。連日の訓練でその能力に磨きをかけてきた

2016.10.23 Sun posted at 09:00 JST

米ユタ州オグデン(CNN) 児童ポルノなどの違法なデータを含んだ記憶媒体の捜索に力を発揮する警察犬、URL(アール)。現在、URLのような警察犬の大半は、コネチカット州など東海岸の捜査当局で任務に就いている。

一方の西海岸では、シアトルで勤務するベアのほか、アラスカにも特別の訓練を受けた警察犬が1頭いる。だが、ロッキー山脈周辺の地域で電子記憶媒体の探知犬として知られているのはURLだけだ。そのためURLは州や連邦レベルの捜査にも動員されている。

こうした警察犬は4~5カ月にわたり、1日3時間の訓練を毎日受ける。インディアナ州で電子機器探知犬の訓練を行う組織を立ち上げたジョーダン氏によれば、犬が食事を取ることができるのは仕事中だけ。反応強化のための訓練が厳格に行われており、報酬として食事を与えられるのは電子記憶媒体を嗅ぎ当てた場合のみだ。

ジョーダン氏の組織ではエネルギーや精神力に優れた犬を訓練に採用している。URLの場合、ある家庭がいったん保護施設から引き取ったものの、行動に制御が利かなかったため施設に戻されていた。

ジョーダン氏は「そういう犬が一番だ。エネルギーにあふれていて恐れを知らない犬や、一般の人々には好かれない部分を持つ犬がいれば、それこそ我々が探している犬だ」と話す。URLは受け入れ初日から仕事への準備ができていたという。ハートマン氏も同様の見解で、URLの仕事熱心さを指摘。「自分よりも働くのは確実だ」と話す。

癒しの効果など、URLと働くことには捜査の場面以外でのメリットもある

ただ、警察犬の育成にはお金がかかる。ウィーバー郡などが組織する麻薬対策チームは、訓練を終えたURLを同郡に採用するのに1万ドル(約100万円)以上を支払った。

ジョーダン氏の訓練施設には、任務に就く準備ができている犬があと2頭いる。既に数人から電話で照会があったほか、当局からの引き合いも多い。あとはどの組織が資金を用意できるかにかかっているという。

ハートマン氏は、URLの真価は今後徐々に発揮されていくものとみている。犬を隣に置いて仕事をすることで既に癒やしの効果が出ているほか、児童関連の事案で緊迫した状況を沈静化させるのにURLが一役買ったこともあったという。

ハートマン氏はまた、テクノロジーの急激な進歩を踏まえたうえで、URLのような警察犬を活用しなければ捜査当局は大きな代償を支払うことになりかねないと指摘。過去に捜査に関わった事件を振り返ると、「何か見逃していなかったか」との思いに駆られるという。今後URLと働いて、本物の凶悪犯を摘発する機会が1度だけにとどまったとしても、「自分にとってはそれだけで価値がある」と話す。

連載終わり

米警察の「ポルノ探知犬」、脅威の嗅覚を実証

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。