ウクライナ東部で虐殺遺体、「一線越えた」とロシアを非難

親ロシア派が押さえる町の付近で発生した銃撃戦で燃えた車両

2014.04.23 Wed posted at 15:23 JST

キエフ(CNN) ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は東部スラビャンスク近郊で与党の地元議員ら2人の虐殺遺体が発見されたと発表し、東部一帯を占拠する「テロリスト」が「一線を越えた」と非難した。米国のバイデン副大統領は22日、同国を訪問して支援を表明した。

トゥルチノフ大統領代行は、行方不明となっていた2人の遺体発見を受け、ウクライナ全土に対テロ作戦の強化を指示。こうした犯行にはロシア軍が加担しているとの見方を改めて示した。

一方、スラビャンスクの実権を握る親ロシア派指導者のポノマリョフ氏は、ウクライナの極右勢力が2人を殺害したと主張している。

緊迫した情勢がつづくなか、バイデン副大統領はウクライナの首都キエフでヤツェニュク首相との共同記者会見に臨み、「ウクライナは1つの国であり、将来もそうあるべきだ。いかなる国にも他国の領土を奪う権利はない。米国はロシアによるクリミア半島の不法占拠を認めない」との立場を強調した。

副大統領はウクライナ東部の抗争にもロシアが関与していると非難し、ロシアが「挑発的な行動」を続けるなら追加制裁に踏み切ると警告した。

ロシアのメドベージェフ首相

副大統領はさらに、ウクライナへの財政、軍事支援を約束。米ホワイトハウスは同日、総額約5000万ドル(約51億円)規模の追加支援策を発表した。国際通貨基金(IMF)も近く、ウクライナへの緊急融資を決める見通しだ。

ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力は10カ所以上の都市で行政施設などの占拠を続け、撤退を拒否している。21日には東部クラマトルスクの警察署が新たに占拠された。

米国防総省は22日、イタリアに駐留する米軍部隊の一部をウクライナに近いポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアへ派遣し、演習を実施すると発表した。

ロシア側は東部の親ロシア派への関与を否定し、欧米からの圧力は不当だと主張している。メドベージェフ首相は22日、議会での演説で、欧米の制裁による悪影響を回避するためには経済の重点を東方へ移し、中国への原油、天然ガス輸出を拡大するべきだと述べた。

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