ウクライナ・ドネツク(CNN) ウクライナ国防省は、親ロシア派の武装集団制圧のため16日に東部ドネツクに向かった軍の装甲車が、武装集団に奪取されたと明らかにした。
ドネツク近郊のクラマトルスクに向かったウクライナ軍の装甲車6台は、後にロシア国旗を掲げてスラビャンスクに到着した。
ロシアの欧州連合(EU)大使はこれについて、ウクライナ兵が「くら替えして人民に加わることを選んだ」と話している。
現場で取材しているCNN記者は、スラビャンスクの町は親ロシア派の武装集団が完全に制圧しているようだと伝えた。
スラビャンスクに通じる道路では警察が統制の取れた検問を実施。装甲車や兵員輸送車が通過し、上空には戦闘ヘリコプターが飛行するなど、軍事力が強化されている様子がうかがえるという。
オバマ米大統領は米CBSニュースに対し、「ロシアがウクライナを不安定化させ、主権を侵害する行為を取れば、その代償を負うことになる。既にロシア経済は減退し、資本がロシアから流出している」と語り、新たな対ロシア制裁の可能性を示唆した。
北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務局長は、ベルギー・ブリュッセルで同日開かれた会合後、ウクライナの事態を受けてNATOの集団防衛強化に向けたさらなる軍事的措置を取ることで合意したと説明。一方で、NATOは政治的解決を支持すると強調した。
ジュネーブでは17日、米国務省のケリー長官とロシア、ウクライナ、EUの外相会談が行われる。
ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は15日、行政庁舎などの占拠を続ける親ロシア派の武装集団に対し、「対テロ作戦」の実施を宣言していた。
大統領府によると、ウクライナ軍はこの日のうちにクラマトルスクの飛行場を親ロシア派から奪回。一方、ドネツクでは16日、武装集団の約30人が市庁舎の建物を占拠した。武装集団は連邦制への移行や住民投票実施のための法制定を要求しているが、衝突などは発生していない。
同国国防省は16日、兵士2人が過激派によって拉致されたことを明らかにした。現在、解放に向けた交渉を続けているという。
一方、ロシアのタス通信は、ウクライナの隣国モルドバで分離独立を宣言した沿ドニエストル共和国が、同共和国を独立主権国家として承認するようロシアに要請したと伝えた。同共和国の議員団が17日にモスクワ入りする予定だという。
これに対してロシアのEU大使は、沿ドニエストル共和国を併合する計画はないと語ったとされる。
CNN取材班がウクライナ軍車列と遭遇