ウクライナ、東部3都市で親ロシア派デモ隊と攻防

ウクライナ東部ドネツクで開かれた親ロシア派の集会=3月15日

2014.04.08 Tue posted at 10:24 JST

(CNN) ウクライナ大統領府は7日夜、東部ドネツクで親ロシア派のデモ隊が占拠していた治安当局の庁舎ビルを、軍特殊部隊が奪回したと発表した。同じ東部のルハーンシクとハリコフでも6日以降、政府側とデモ隊との攻防が続いている。

ドネツクとルハーンシク、ハリコフでは6日、デモ隊が当局の庁舎などを占拠してロシア国旗を掲げ、新政府の樹立などを宣言していた。ウクライナのヤツェニュク首相は、デモ隊が同国の不安定化を図り、そこへ「外国部隊」が侵入して領土を奪おうとしていると非難。この動きを「認めるわけにはいかない」と述べた。

トゥルチノフ大統領代行は7日、デモは「ロシアに操られた分離主義集団」による仕業だと語り、「敵対勢力がクリミアのシナリオを再現しようとしているが、われわれはこれを断固阻止する」と宣言した。

これに対してロシアは「事態を注意深く見守る」との立場を示している。同国は、ロシア系住民が多数派を占めるウクライナ東部や南部の自治権拡大に向けた連邦制の導入を主張してきた。ロシア外務省は声明で、ウクライナ政府を「無責任」と非難し、「法的権利を主張する国民の声に耳を傾けるべきだ」と述べた。

ウクライナ軍がロシア国境付近で警戒を強める

一方、米ホワイトハウスのカーニー大統領報道官は、「ロシアによるウクライナ東部への侵入は、それが公然と行われるかどうかにかかわらず、事態の深刻な悪化を意味する」と強調。プーチン・ロシア大統領に対し、ウクライナの不安定化を図る行為や軍事介入をやめるよう警告した。

ロシアの国営イタル・タス通信によると、ドネツクでは「ドネツク人民共和国」の議会を名乗る組織が、5月11日にロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施すると宣言した。この組織がプーチン大統領に「暫定的な治安維持部隊」の派遣を要請したとの情報もある。ウクライナ軍の奪回作戦による死傷者は報告されていない。

ハリコフを訪問したアバコフ内相によると、同市ではデモ隊が庁舎ビルから排除され、職員はいったん平常の勤務に戻った。しかしウクライナ紙が伝えたところによれば、6日夜にはデモ隊が再びビルの周囲に集結し、警官隊と衝突した。地元テレビ局の本社にも約50人のグループが乱入したという。

一方ルハーンシクでは、当局が平和的な問題解決に向けた作業部会を設置した。メンバーには地元主要組織の代表者や紛争解決の専門家が加わっているという。

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