キエフ(CNN) ロシアが併合を決めたクリミア半島では22日、ロシア軍や親ロシア派勢力がウクライナ軍基地に突入するなど、支配確立へ向けた動きを進めた。ウクライナには近く、欧州安保協力機構(OSCE)の監視団が到着する見通しだ。
ウクライナ国防当局の報道官によると、クリミア半島南部にあるウクライナ軍のベルベク空軍基地に22日、ロシア軍特殊部隊の装甲車6台が空中に発砲しながら突入した。この襲撃で報道関係者1人が負傷した。
また、クリミア半島の別の基地にも親ロシア派の自警団とみられる集団が突入し、施設を占拠した。ウクライナ軍部隊は国旗を下ろして基地を出たという。
米国家安全保障会議の報道官は声明で、「こうした報告はロシアが作り出した危険な状況を反映している。プーチン・ロシア大統領はロシアの軍事介入がクリミアに安全をもたらしたと主張するが、その主張はうそだということが分かる」と述べた。
OSCEは21日、ウクライナへの監視団派遣を決め、24時間以内に先遣隊を送り込むと発表した。治安と人権状況の監視を目的に、計100人の要員が国内各地で6カ月間活動する。
ウクライナ側の要請があれば、最大500人規模まで拡大し、活動期間をさらに6カ月延長することも可能。欧州諸国は監視対象にクリミア半島を含めるよう求めていたが、OSCEのメンバーでもあるロシアの反対で却下された。
ウクライナのヤツェニュク首相は21日、ヤヌコビッチ前大統領が昨年棚上げした欧州連合(EU)との連合協定のうち、政治分野での連携強化に関する条項に署名した。
22日には首都キエフを訪れたドイツのシュタインマイヤー外相、国連の潘基文(パンギムン)事務総長と相次いで会談し、事態の収拾に向けて外交解決を目指す姿勢を確認した。
装甲車がゲートに突撃