ロシア下院、クリミア編入条約を批准 米ロ双方が制裁

ウクライナ軍基地を取り囲むロシアの兵士=19日

2014.03.21 Fri posted at 11:13 JST

キエフ(CNN) ロシア下院は20日、ウクライナからの独立を宣言したクリミア半島を編入する条約を圧倒的多数で批准した。これを受けて米国はロシアに対する制裁強化を発表。ロシアも米政府高官や議員に対する制裁を発表した。

ロシア下院は443対1で条約を批准。上院でも21日に採決が行われ、条約批准の手続きが完了する見通し。

プーチン大統領の代行として下院で演説したラブロフ外相は、クリミアのロシアへの編入は、同地のロシア系民族を守るために必要だと強調した。

欧州連合(EU)は20日、ベルギーのブリュッセルで首脳会合を開き、制裁強化について協議した。米国と欧州はこれまでに、ロシアとクリミアの政府関係者など20人以上に対して制裁を課し、事態の悪化を避けるようロシアに圧力をかけていた。

オバマ大統領は同日、クリミア編入の動きを受けて、ロシア高官や銀行に対する追加制裁を発表。さらに、もしロシアが事態の解消に動かなかった場合、「主要産業」に対する経済制裁を可能にする大統領令に署名した。

ロシアのプーチン大統領

オバマ大統領は一連の制裁について、「ロシア経済に重大な影響を及ぼすだけでなく、世界経済にとっての打撃となる可能性もある」「ロシアはこれ以上事態を悪化させれば国際社会から一層孤立すると認識しているはずだ」と語った。

米政府高官によると、新たな制裁の対象となるのは、プーチン大統領の側近セルゲイ・イワノフ氏、セルゲイ・ナルイシキン下院議長らロシア政府高官や実業家など20人とロシア銀行。制裁対象の個人が米国内に持つ資産はすべて凍結される。

これに対してロシア外務省が発表した対米制裁対象には、ジョン・ベイナー下院議長、ハリー・リード上院院内総務、ジョン・マケイン上院議員など9人が含まれる。

ラブロフ外相は議会演説で、「(制裁が)前向きな結果をもたらしたことはない」と述べ、制裁に法的根拠はないと指摘した。

米国防総省報道官によると、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は20日、チャック・ヘーゲル米国防長官との電話会談で、ウクライナとの国境地帯に展開しているロシア軍に、国境を越える意図や軍事行動を起こす意図はないと言明した。

16日の住民投票の様子。ロシア編入への賛成票が9割を超えたという

ウクライナ議会は同日、「クリミア半島は過去も現在も未来もウクライナの一部だ」と宣言。「ウクライナ国民はいかなる状況にあっても、クリミアを占領から解放するための闘いを決してやめない」と強調した。

一方、ウクライナ大統領府は同日、クリミア半島の海軍本部を占拠した武装集団に拘束されていたウクライナ海軍のハイドゥク司令官が解放されたと発表した。ほかの数人と共に首都キエフに向かっているという。

この問題ではロシアのショイグ国防相がクリミアの当局者に対し、ハイドゥク司令官を解放して同地から脱出させるよう求めていた。

緊張続くクリミア情勢

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