ウクライナ南部シンフェロポリ(CNN) 緊張が続くウクライナ情勢を巡り、米国のケリー国務長官は8日、ラブロフ・ロシア外相への電話で、ロシア側の挑発が続けば交渉の余地はなくなると警告した。オバマ米大統領は同日、欧州各国首脳らとの電話会談でロシアに自制を求める必要性を確認した。
米政権高官の話によると、ケリー長官はラブロフ外相に、ロシアがウクライナ南部クリミア半島などで挑発行為を続け、同半島のロシア編入を進めようとするなら「外交解決の可能性は閉ざされる」と最後通告を突きつけた。
ケリー長官は一方で、米国は関係国と協力してウクライナとロシアの対話を促す用意があると強調した。
米ホワイトハウスによれば、オバマ大統領はこの日、英国、フランス、イタリアの各首脳と電話で会談し、さらにリトアニア、ラトビア、エストニアの各大統領との電話会議を開催した。
首脳らはロシアに対して、軍を撤収し、国際監視団の派遣やウクライナとの直接対話に向けた枠組み設置などに同意するよう求めるべきとの認識で一致した。
首脳らはまた、クリミア半島でロシア編入の是非を問う住民投票が予定されていることについて、「ウクライナ憲法に反する」との反対意見を改めて表明。ロシアが国際法違反を続ける場合、国際社会からの孤立は避けられないとの見方を示した。
ウクライナ当局者らによると、クリミア半島の中心都市シンフェロポリで同日、軍の施設が親ロシア部隊に占拠された。
ウクライナ国境警備隊は、同半島東端のケルチ近郊の拠点がロシアの部隊に襲撃されたと主張。半島での現地調査に向かった欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視団は、この日も親ロシア部隊の妨害で半島へ入れなかったとして引き返した。
一方、ロシア外務省はOSCEの立場を「偽善的」と非難している。ロシアのラブロフ外相は同日、クリミア半島への軍事介入を改めて否定し、「われわれには対話を続ける用意がある。危機を引き起こしたのはわれわれではない」と主張した。
ウクライナ当局や欧米諸国がロシア軍の派兵を非難しているのに対し、ロシア側は「クリミア半島の武装集団は地元の自警団だ」とする立場を貫いている。