米国務長官、欧ロ外相と会談 対話継続で一致 ウクライナ情勢

ケリー国務長官

2014.03.06 Thu posted at 10:56 JST

ウクライナ・キエフ(CNN) ウクライナ情勢を巡って5日、米国務省のケリー長官がパリで英国、フランス、ドイツ、ウクライナ、ロシアの外相と相次いで会談した。ケリー長官は会談後、記者団に対し「対話を通じた問題の解決に努めることが重要だとの認識で全関係者が一致した」と語った。

ケリー長官はこの日の会談を「交渉の始まり」と位置付け、「非常に建設的」だったと評価。解決策を見つけることは困難かもしれないが、「昨日より今日の状況の方が好ましい」と語った。

フランスのファビウス外相も、「初めて動きがあった」と楽観的な見方を示し、「今後も対話を継続する」と表明した。

ケリー長官とロシアのラブロフ外相の同日の会談は3回にわたって行われた。ケリー長官は、事態打開に向けてロシアとウクライナとの直接対話を促したという。

ラブロフ外相は記者団に対し、「我々全員が(ウクライナの)事態を憂慮している」「危機打開と状況の安定化、正常化に向けた最善の策を探るため、今後も協議を続けることで合意した」と語った。

ウクライナ情勢の緊張が高まっている

ウクライナのヤツェニュク首相は同日、CNNに対し、ロシアのメドベージェフ首相と話し合い、外交的な解決を求めたことを明らかにした。「テーブルには2つの選択肢がある。政治か軍事かだ。正しい選択肢は、外交や政治の全ての手段を使って危機に取り組み、侵入を止めることだ」と首相は語った。

一方、ロシア外務省は、ウクライナの政権移行に関する2月21日の取り決め遂行を支援することで米国と合意したと発表した。ただ、ケリー長官はこの合意について言及していない。

ロシア政府によると、ドイツのメルケル首相とロシアのプーチン大統領も5日に電話で会談し、事態の正常化に向けた動きについて協議した。

これに先立ち北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務局長は5日、ベルギー・ブリュッセルのNATO本部で記者団に対し、「全範囲におけるNATOとロシアの協力関係を見直す」と表明した。

NATOが化学兵器の無能力化に関して進めていたロシアとの初の共同作戦の計画も中断したことを明らかにした。ただし化学兵器の廃棄に影響が及ぶことはないとしている。

デモ隊と治安部隊との衝突で死者も出たウクライナ。先行きは依然として不透明だ

さらに、NATOとウクライナの協力関係を強化する方針も表明し、共同演習や多国籍プロジェクトを通じ、ウクライナの文民および軍の指導部との関係を深めるとした。

これに対してロシアのNATO大使は、「非常に失望している」「NATOが二重基準政策を取り、ロシアに対していまだに冷戦の固定観念を当てはめていることが、今回の会談で証明された」と批判した。

ラスムセン事務局長は6日にウクライナのヤツェニュク首相代行と会談する。

一方、欧州連合(EU)は5日、ウクライナに対する110億ユーロ(約1.5兆円)の支援を発表した。

クリミア半島では緊迫した情勢が続いている。国連のエリアソン副事務総長は5日、国連特使のロバート・セリー氏が同地で武装集団に脅されたと語った。国連は地元当局に対し、セリー氏の身辺警護を要請。CNN系列局のITVによれば、セリー氏は直ちにウクライナから出国することに同意したという。

また、目撃者が5日に語ったところでは、同国東部のドネツク州でもデモ隊が行政府の建物を占拠し、財務局に向かっているという。デモ隊はドネツク地域の自治権拡大を要求し、住民投票の実施を求めていた。

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