ロシア大統領、クリミア占領を否定 欧米はウクライナ支援表明

シンフェロポリに展開する兵士ら=1日

2014.03.05 Wed posted at 11:16 JST

ウクライナ南部シンフェロポリ(CNN) ロシアのプーチン大統領は4日、ウクライナ南部クリミア自治共和国への軍事介入をめぐり、クリミアを占領する計画はないと明言した。一方で欧米諸国はウクライナ新政権を支援する動きを加速させている。

プーチン大統領は、ロシアが軍事介入したとしても、その目的はクリミア半島のロシア系住民を保護することだと強調。ロシアはヤヌコビッチ前大統領から派兵を直接要請されたと述べ、介入の合法性を改めて主張した。

これに対してウクライナの対クリミア交渉責任者を務めるポロシェンコ元外相は、ヤヌコビッチ氏の要請に正当性はないと反論。同氏はすでに大統領の座を追われた「犯罪者」であり、外国に派兵を要請できるのは議会だけだと語った。

ポロシェンコ氏はCNNとのインタビューで、ウクライナとロシアの間で閣僚間協議の動きがあると述べたが、一方で「われわれは平和的な交渉のチャンスを求めているもののロシア側に希望の兆しはない」と、悲観的な見方を示した。

ウクライナのセルゲイエフ国連大使は3日、ロシア軍がこの1週間で1万6000人の兵力をクリミア半島へ送り込んだと語った。

プーチン大統領はこれに対し、クリミア半島に新たな軍要員を投入した事実はなく、現地に駐留している2万5000人のロシア軍部隊も今回の対立には関与していないと主張。4日には、ウクライナ国境付近で軍事演習を実施していた部隊に撤収を命じたという。

ロシアの国営メディアはウクライナ軍兵士数千人が離反してロシア側についたと伝えたが、ウクライナ政府はこれを否定している。

ウクライナの国家安全保障防衛委員会(NSDC)が議会に報告したところによると、ウクライナ軍はロシア国境の検問所で警備要員を2倍に増強した。

4日にはケリー米国務長官がキエフを訪問した

5日には北大西洋条約機構(NATO)がロシア側との会合を予定している。ラスムセン事務局長は4日、「国際社会からの度重なる呼び掛けにもかかわらず、ロシアはウクライナの主権と領土の侵害を続けている」と非難した。

オバマ米大統領は「ロシアが隣国の出来事に利害関係を持つことは認めるが、だからといって内政干渉を目的とした武力行使が許されるわけではない」と指摘した。

ケリー米国務長官は4日にウクライナの首都キエフを訪れ、10億ドルの債務保証を表明した。

ケリー長官はロシア側がクリミア派兵の理由に住民の保護を挙げていることに対し、「ロシア系住民が弾圧されているという証拠はひとつもない」と強調した。

ウクライナ議会では4日、欧州連合(EU)から6億1000万ユーロ(約860億円)の融資を受けることが承認された。国際通貨基金(IMF)もウクライナへの金融支援を検討するため、同国へ調査団を派遣している。

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