2期目を迎えたオバマ大統領 残された課題と挑戦は

就任式で集まった人々に手を振るオバマ大統領=1月12日、ワシントン

2013.01.24 Thu posted at 09:30 JST

ワシントン(CNN) オバマ米大統領は今月21日に米ワシントンで就任式を行い、政権は2期目へと突入した。しかし、何という大きな違いだろうか。4年前、オバマ大統領は、新たな歴史と希望が満ち溢れる中で大統領に就任した。しかし、2期目の就任となる今回は、興奮や期待は小さく、政治が大きく変わるという予感もない。

2009年の就任式前には、仕事が進みさえすれば良いと語っていた大統領だったが、その1期目の公約の重要部分については、政府や議会が協調して仕事をすることはなかった。

1期目は、医療保険制度改革(通称オバマケア)を、共和党のほぼ一致団結した反対にもかかわらず実現できたことが目立つくらいだ。

大統領自身が維持不可能だと語っていた年間1兆ドル(約90兆円)超の財政赤字の削減をはじめ、社会保障制度やメディケア(高齢者向け公的医療保険)の改革、移民問題などの優先課題には2期目も取り組まなければならない。さらに、銃規制強化が新たな公約として加わっている。

これらの課題に共通するのは、内部で保守派が主張を再度強めている共和党と意見が対立するものだということである。

経済や社会制度、外交など、国内外に課題は山積だ

さらに、大統領自身の民主党内部でも、リベラル派がメディケアの大改革には反対しているほか、中間派・保守派が銃規制強化に消極的であるなど、公約リストには、身内からの賛成も得にくい課題が含まれている。

不安定な中東情勢や中国が影響力を強めているアジアの経済・安全保障問題など、外交課題も山積している。

加えて2期目の大統領は、時間との戦いにも直面する。

共和党のストラテジストで、ブッシュ前大統領・チェイニー前副大統領の主席アドバイザーも務めたメアリー・マタリン氏は、ブッシュ・チェイニー政権の2期目での自らの経験も踏まえ、オバマ政権に与えられた、レームダック(死に体)化が真剣に語られるようになるまでの時間は、最長でも1年6カ月だと指摘。2014年の中間選挙や2016年の大統領選挙に向けた予備選挙が影響を与えると説明する。

米国経済の好不調が、大統領がどのくらい重要政策を実現できるのかに最も大きく影響するのは、1期目と同じである。

オバマ大統領の主席アドバイザーのデイビッド・アクセルロッド氏は、教育や科学技術の発展、重要インフラへの投資など、政権1期目から引き継がれ、21世紀の米国経済を左右するような課題が、2期目が成功といえるのかを決定すると主張している。

ベイナー下院議長(右から2番目)と食事をするオバマ大統領。2期目は共和党指導部との一層の協力も必要だ

直近5人の大統領の中で2期目を務めるのはオバマ大統領で4人目だが、過去の3人はそれぞれ、2期目に大きな出来事により政権基盤が揺らぐことになった。

レーガン元大統領のイラン・コントラ事件、クリントン元大統領の不倫事件とそれに伴う弾劾裁判、ブッシュ前大統領には、イラク戦争への反対の広がりと大型ハリケーン「カトリーナ」への対応が失敗視されたことなどである。

共和党のマタリン氏は、大統領が「尊大」な態度を早急に改めることが2期目の重要課題だと指摘。マタリン氏は、オバマ大統領がその政治的反動によって、共和党指導部と協力するための力を鈍らせたとの見方を示す。

だが、オバマ大統領側近は、こういった指摘には猛然と反発する。共和党が、オバマ政権の1期目の初期にその政策のほとんどに反対することを決めたのが問題だったのであり、より協調的な態度で信頼関係を築く義務があるのは共和党側だというわけだ。

マタリン氏はまた、2期目の政権では、重要閣僚やホワイトハウス主要スタッフの交代が頻繁に起きるという問題も指摘した。残ったスタッフは疲労困憊(こんぱい)している一方で、新たに登用されるスタッフが最も優秀な人物というわけではないという。

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