再選を祝う間もなく――オバマ大統領を待ち受ける課題山積

2012.11.08 Thu posted at 09:47 JST

(CNN) 6日の大統領選で再選されたオバマ大統領に、ゆっくりと勝利を祝う時間はない。ただちに取り組むべき課題が山積みとなっているからだ。しかも、それらは氷山の一角にすぎない。

数日間のうちに、今後4年間の任務を補佐してくれるチームを立ち上げ、大幅増税と歳出削減による「財政の崖」に対処し、「ブッシュ減税」延長の是非を判断する必要がある。

その先は国外に目を向ければイランの核問題、中東の情勢不安、中国との貿易問題、欧州連合(EU)の経済不安、国内では雇用創出、移民対策、教育改革、財政赤字削減、エネルギー開発と、待ち受ける課題を挙げればきりがない。

これらは目に見える課題だが、実は水面下に、だれも目を向けようとしない深刻で複雑な課題が広がっている。そしてこの課題への対応が、将来にわたってオバマ政権の、さらにはわれわれの世代全体の評価を左右することになる。

課題の核心は、米国が今後も成長と指導的立場を維持するために何を変えなければならないかという議論にかかわっている。かつてのような経済成長が達成できなくなった結果として、雇用不足だけでなく、賃金の伸び悩みや不十分な職業訓練、格差社会の深刻化といった問題が生じている。こうした問題は、減税や社会制度の拡充など旧来の手段では必ずしも解決できない。

世界は変化している。かつて中間層を支えていた製造業の雇用が米国に戻ってくることは、もうないだろう。海外へ流出したというより、過去の遺物となってしまった職も多い。

新しい時代に合った雇用を創出し、新しい業界で競争力をつけるためには、新たなモデルを受け入れ、新たなインフラに投資し、外国からの投資を歓迎して規制や税制の簡素化を進め、変化に抵抗する利益団体と闘わなければならない。

こうした変革が難しいのは、わが国の政治制度が壊れているからだ。政治家への献金を無制限に集められる「スーパーPAC」(特別政治行動委員会)を通して選挙運動に巨額の資金が投じられ、それでも投票率は振るわない。二大政党制の議会はこう着状態や責任転嫁ばかりが目立ち、選挙区操作や議事妨害といった小手先の戦術が横行している。

米国に次ぐ経済大国となった中国でも近く、10年に一度の指導部交代が予定されている。両国の政治体制はまったく異なるものの、変化に抵抗する構造となっている点は共通する。中国の次期指導者もまた、深刻な課題に直面し、激変する政治、経済への対応を強いられるだろう。

この課題に対応するために、オバマ大統領は野党だけでなく与党にも立ち向かわなければならない。何よりもまず、常識や古いモデルを覆し、ワシントンが最も苦手とする「真の創造性」を引き出す必要がある。

米国は今こそ、信じられるだけでなく、目に見える変革を断行するべきだ。さもなければ、米大統領選より中国の指導部交代の方が重要視される事態にもなりかねない。

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