災害時のリーダーシップ 大統領選に与える影響は

オバマ大統領は災害対策を陣頭指揮

2012.11.01 Thu posted at 09:31 JST

(CNN) 温帯低気圧「サンディ」が米東海岸へ向かうなか、オバマ大統領はフロリダ州とバージニア州で予定していた遊説を取りやめて首都ワシントンへ戻り、ホワイトハウスで災害対策の陣頭指揮を執る構えを見せた。一方、共和党の大統領候補、ロムニー前マサチューセッツ州知事も遊説を中止し、被災地に送る救援物資を募集するイベントに切り替えた。

投票日まで1週間を切り、両候補は選挙戦での追い込みと自然災害への対応という異なった取り組みの中でバランスをとって、「大統領らしい」姿を示そうとしている。

専門家からは、オバマ大統領が遊説先から予定を変えてワシントンへ戻ったことを評価する声が多い。

ハーバード大学ケネディスクールのデービッド・ガーゲン教授は、サンディが接近する中でオバマ大統領がワシントンに戻ったのは正しい行動だったと指摘。「政治的な理由でワシントンに戻ったと考える人もいるだろうが、疑わしきは罰せずだ。オバマ大統領はまさしくすべきことを行った。大統領は仕事の一環として危機のときに先頭に立つことを求められている」と説明する。

プリンストン大学のジュリアン・ゼリザー教授も「特にまだ投票先を決めていない有権者は誰を支持すべきか熟考しながら、オバマ大統領がサンディに対処する姿を見つめるだろう」と指摘。オバマ大統領は危機的状況によって、一部の有権者が望んでいる大統領らしく振舞う機会を与えられたとの見通しを示した。

ロムニー氏は政治集会を救援物資を集めるイベントに切り替えた

これは、ブッシュ前大統領とは対照的だ。2005年のハリケーン「カトリーナ」の際にブッシュ前大統領は適切な対処に失敗し多くの批判を浴びた。

バージニア大学の政治センターで所長を務めるラリー・サバト氏は、「ブッシュ氏の大失敗はこれからしばらくは記憶に残る。大統領やそのスタッフはブッシュ氏の二の舞を避けようとするだろう」と語った。

一方、ロムニー氏は10月29日夜、ウィスコンシン州での政治集会を中止したほか、オハイオで行われる集会を被災地へ送る救援物資を集めるためのイベントに切り替えた。ロムニー陣営は、オハイオ州での選挙活動は継続するという。

ロムニー氏の立場は微妙だ。大規模な選挙活動は控える一方で、復旧を援助する取り組みを誇示するような行動は避けている。

ハーバード大のガーゲン教授は「災害の影響を受けていない州にロムニー氏がいる限り、選挙活動は問題にはならないだろう」としながらも、ロムニー氏には実際のところ、サンディへの対応において担うべき役割がないと付け加えた。

バージニア大のサバト氏も、ロムニー氏に出来ることは懸念を表明することぐらいだろうと指摘する。

ただし、専門家らは、サンディが選挙戦の結果に決定的な影響をもたらすかどうかについては否定的だ。ガーゲン教授は「選挙結果を変えるものではないだろう」との見通しを示している。

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