「サンディ」が大統領選に及ぼす影響 5つのポイント

2012.10.30 Tue posted at 18:57 JST

ワシントン(CNN) 米東海岸を直撃したハリケーン「サンディ」は、来週に迫った統領選へ向けた選挙戦にどんな影響を及ぼしているのだろうか。注目すべき5つのポイントを挙げる。

1.オバマ大統領の「最高司令官」カード

オバマ大統領は29日、連邦政府の対応を見守るため、遊説先のフロリダ州から急きょ、首都ワシントンへ戻った。ホワイトハウス到着後すぐに記者団と会見した大統領は、ハリケーンが選挙に与える影響について問われると「現時点で選挙への影響は心配していない。心配なのは被災地の家族や初動要員への影響、わが国の経済や交通機関への影響だ。選挙は来週になればひとりでにやって来る」と答えた。

大統領は前日、フロリダへ向かう前にも緊急事態管理局(FEMA)に出向き、準備態勢の報告を受けた。自然災害は現職大統領が最高司令官としての仕事ぶりを見せるチャンスともいえる。

一方で政府の対応が遅れたり不十分だったりした場合、大統領は選挙直前の重要な時期に大きな政治的代償を払うことになりかねない。振り返れば2005年、ハリケーン「カトリーナ」への対応で批判を浴びたブッシュ前大統領の支持率はその後も回復することなく、翌年の中間選挙での敗北につながった。

電気がなければテレビ広告も打てない

2.ロムニー氏も当面は活動自粛の構え

オバマ大統領がフロリダ州の集会での演説を中止してから約3時間後、共和党候補のミット・ロムニー氏も、同日夜にウィスコンシン州で予定していたイベントの中止を決めた。副大統領候補のポール・ライアン氏もフロリダ州でのイベントをキャンセル。さらに両氏とも30日の計画を中止した。

オバマ、ロムニー両陣営は、被災地の支持者らにあてた募金呼び掛けのメール配信を取りやめた。ロムニー陣営はさらに、ノースカロライナ、ニューハンプシャー、ペンシルベニア、バージニア各州の選挙事務所で、被災地へ届けるための救援物資を集めると表明している。オハイオ州デイトンで30日に開く集会は、被災者支援のためのイベントに変更する方針だ。

3.吹き飛ばされるテレビ広告

ニューヨークなどではサンディの影響により、大規模な停電が起きている。停電すれば当然、テレビは見られない。

選挙戦の最終盤を迎え、両陣営とも数千万ドルを投じてコマーシャル攻勢をかける予定だったが、激戦州の多くはサンディの進路に集中している。一部地域では停電が来週まで長引くことも予想され、選挙運動は現地訪問やラジオ、活字広告などに頼ることになるかもしれない。

悪天候では期日前投票も難しい

4.制限される期日前投票

メリーランド州と首都ワシントンで29日の期日前投票が中止されたが、いずれもオバマ大統領勝利がもともと確実視されていた。ただ、ノースカロライナやオハイオ、バージニアなど、激戦州の一部も影響を受けそうだ。

期日前投票ではオバマ大統領が優勢とされてきただけに、その投票率が下がれば大統領側がより大きな打撃を受けることになるだろう。

5.世論調査も取りやめに

選挙戦の終盤になると「最終世論調査」の結果が飛び交うのが常だが、今回は予定通りにいかない可能性がある。

調査機関ギャラップと経済紙インベスターズ・ビジネス・デーリーは29日、毎日実施していた全米世論調査を一時的に中止すると発表した。また電話回線や携帯電話のサービスがストップし、調査が物理的に不可能となる地域も出てきそうだ。

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