攻めるオバマ大統領、守るロムニー氏 最終盤で攻守逆転

2012.11.04 Sun posted at 11:37 JST

ワシントン(CNN) 11月6日の投票が目前まで迫った米大統領選だが、民主党のオバマ大統領が劣勢の候補者のように積極的に遊説をこなしているのに対し、共和党大統領候補のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は政権交代が確実だとの姿勢を示すなど、これまでとは攻守が入れ替わった様子を見せつつある。

3回の大統領テレビ討論会を経て逆転した両候補の立場は、大嵐サンディへの対処で指導力を発揮したとされるオバマ大統領が盛り返しつつあるが、有権者の審判が下されるまで両陣営の熾烈な宣伝合戦が繰り広げられそうだ。

オバマ大統領はメディアへの露出や遊説を精力的にこなしており、ロムニー氏に対する批判の口調はより激しいものになってきている。

一方でロムニー氏は、次期大統領であるとの雰囲気を醸し出そうと、オバマ大統領の実績を批判しつつも政治的な中傷合戦からは一歩引いた姿勢を見せ、オバマ大統領が4年前とは異なり、最重要課題から人々の目をそらさせようとしているなどとも批判している。

ブルッキングス研究所のダレル・ウエスト副所長(統治学)は、今では両候補共に、残り少ない浮動票の獲得よりも、中核的な支持層に対する投票の呼びかけに注力しているとの見方を示す。

1回目の討論会では精彩を欠いたオバマ大統領。これ以降は攻撃的な姿勢に

ブルッキングス研究所のウエスト氏は、オバマ大統領が10月3日のコロラド州デンバーで行われた1回目のテレビ討論会で精彩を欠いた結果、ロムニー氏が勢いづいたと指摘。一部の世論調査では互角以上となっているため、ロムニー氏がフロントランナーで、大統領はそれを追うというような役割を演じるようになったと付け加えた。

ウエスト氏はさらに、オバマ大統領が、2回目と3回目のテレビ討論会での勝利をもたらした攻撃的な姿勢をその後も維持していると指摘する。

CNNのチーフ政治アナリスト、グロリア・ボーガー氏は、挑戦者である候補は変化を約束するもので、前回のオバマ大統領と今回のロムニー氏がそうであるとの見方を示す。ロムニー氏には、1回目の討論会での大勝利や順調な資金集めなどが追い風になっているともボーガー氏は付け加えた。

これに対しオバマ大統領は、支持者が多い女性やアフリカ系、ヒスパニック系、同性愛者の支持を一層拡大するために、ロムニー氏の政策が時代遅れかつ進歩に逆行するものだと批判を強めている。

オバマ大統領はまた、ロムニー氏の外交政策を酷評して政治姿勢のぶれを批判しているほか、雑誌のインタビューでロムニー氏を「大ぼら吹き」とまで呼んだ。これにはロムニー陣営が、オバマ大統領は混乱しており、弁解や中傷ばかりだなどと直ちに反論した。

10月に入り勢いを取り戻したロムニー氏

オバマ大統領が、前政権がもたらした景気後退から米国経済を回復させたと主張しているのに対して、ロムニー氏は、大統領の見当違いの経済政策が景気回復を遅らせ、何百万人もの米国人が長期間、失業や貧困に苦しめられていると主張している。

そしてロムニー氏は、今回の大統領選挙が、過去4年間と同じ政策による現状維持と、将来が過去よりも良くなることを約束する本当の変化との間の選択だと主張している。

ブルッキングス研究所のウエスト氏によれば、オバマ大統領には、追いかける候補として、より攻撃的な姿勢をとることが有利に働く可能性があるが、ロムニー氏が勢いに頼るのはリスクが高いという。

ウエスト氏は、接戦となっている選挙では、リードを維持するのは非常に難しく、勢いとは曖昧(あいまい)なものでもあると説明。ロムニー氏は過去数週間、世論調査で健闘してはいるものの、これはすぐに変わることもありえると付け加えた。

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