最後の討論会で分かった5つのこと 米大統領選

2012.10.25 Thu posted at 09:00 JST

フロリダ州ボカラトン(CNN) 3回目にして最後となる大統領候補テレビ討論会が22日にフロリダ州ボカラトンで行われた。民主党のオバマ大統領と共和党大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事は共に、数少ない投票態度未定の有権者を説得するために、米国が抱える主要な問題についての本質的な議論を戦わせた。

外交政策が討論のテーマではあったが、両候補が今回の選挙戦での最重要課題で有権者からの支持を得ようとするなか、当然のことながら経済問題についても多くの時間が費やされた。

長く激しい選挙戦は11月6日で終わりを迎えるが、90分間の討論で選挙戦最終盤における論点が浮き彫りになっただろう。今回の討論会で見えたポイントは以下の5つだ。

1.白熱したが抑制のきいた議論

両候補共に、相手に対する対抗意識は感じられたが前回の討論会ほどではなかった。前回の討論会は高いいすに座って自由に歩きまわれるスタイルで、これが互いの激情を増幅させた面もあったようだが、今回はテーブルに着いての討論だったことが大きな違いを生んだのだろう。

何千万人もの視聴者への最後の訴えのために、リビアやイラン、シリアから中国、そして経済問題についても意見を戦わせ、時には辛らつなやり取りや相手の発言に言葉をかぶせることもあった。しかし、ボクシングの試合に例えるとグローブが脱げそうになるといった場面はほとんど無かった。

ある同僚は、90分間の討論の間に何回か私のほうを振り返り、「3回とも今回のような討論会だったら良かったのに」と言っていた。

オバマ大統領は米軍最高司令官としての実績を強調

2.やっぱり「経済」

外交政策が議題だった今回の討論会でも、有権者の最大の関心事である経済問題についてもかなりの時間が費やされた。

ロムニー氏は、経済問題は米国の世界における地位を低下させているという点で安全保障にも関わる問題だと訴え、低迷する経済の回復策として、職業訓練や中小企業振興策などの5大対策を再び提案した。

対するオバマ大統領は、現政権の教育問題への対策を強調し、ロムニー氏のマサチューセッツ州知事時代の教育や中小企業への対応策を批判した。

3.「米軍最高司令官」という立場

オバマ大統領は討論会の重要な局面で、米軍最高司令官である大統領だけが直面する重要な決断を下してきたことや、それに関する実績や経験を強調した。ロムニー氏には出来ないことで、オバマ大統領にとって有利な要素であった。

しかし、ロムニー氏にとっては、大統領としての自らの実績を擁護する必要がないことや、米国に関する自身のビジョンについて不十分な部分を問い詰められることなく語れた点では有利だった。

ロムニー氏(右)と共和党副大統領候補のライアン氏。討論は終わり、最後の遊説に入る

4.世界における米国の役割

候補者が壮大な将来のビジョンを語れるテーマである。

ロムニー氏が「自由を守り世界平和実現のための原則を広めていくことを助けるための責任と権利を米国が有することを強く信じる」と語ったのに対し、オバマ大統領は「米国は無くてはならない国であり続けるし、世界は強い米国を必要としている」と述べた。

最後の大統領討論会にふさわしい質問で、両候補者は思いを述べることが出来ただろう。

5.討論は終了

後は激戦州における少数の票をめぐっての争いとなる。オバマ大統領は、フロリダ州とオハイオ州に向かうがその後の予定は未定だという。ロムニー氏は、西部のネバダ州とコロラド州、そしてオハイオ州とアイオワ州やその他複数の接戦州も訪れる予定である。

選挙戦が大接戦のまま11月6日が近づくと、両候補が最後の3日間で9つの激戦州の全てを回るようなことにもなるかもしれない。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。