注目高まる副大統領候補討論会 援護射撃は成功するか

バイデン副大統領(左)とライアン下院議員

2012.10.12 Fri posted at 09:00 JST

ワシントン(CNN) 11月6日の米大統領選まで1カ月を切るなか、現地時間11日にケンタッキー州ダンビルで副大統領候補による討論会が行われる。副大統領候補討論会は、大統領候補討論会の合間のなぎのようなものだったが、今年は注目度が高まっている。そして、失言の多いおじさん風のジョー・バイデン副大統領(民主党)と、若いが真面目で退屈な共和党副大統領候補ポール・ライアン下院議員だが、討論会では同じ困難に直面するかもしれない――ともに、普段とは違った自分を見せなければならないのだ。

エモリー大学の討論学教授メリッサ・ウェイド氏によると、バイデン副大統領は、年齢の割に非常にエネルギッシュであるため、緊張して不適切な比喩を持ち出し、そのまま突っ走って失敗することが多いそうだ。

一方でライアン氏は、副大統領と同じくらいエネルギッシュでなければ討論会での成功はおぼつかないし、単なる真面目な経済専門家ではなく、人々と心を通わせることが出来ると思われなければならないだろう。

1度だけ開催されるテレビ討論会では、1940年代生まれで白髪だがエネルギッシュなバイデン副大統領と、若くて筋肉質だが、あまりエネルギッシュには見えないライアン氏との外見上の違いも興味深い。

バイデン副大統領が、先週の1回目テレビ討論会でのオバマ大統領の大失敗を挽回する役目を負っている一方で、ライアン氏には、共和党の大統領候補ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の討論会以降の躍進を加速させるチャンスである。

オバマ大統領が、主要な政策についてロムニー氏を厳しく追及しなかったため、バイデン副大統領の課題は、これらについて追及し、合計3回のうち2回目となる16日のテレビ討論会に臨むオバマ大統領のために舞台を整えることだと見られている。

支持率が拮抗しつつある中で、問題は、「ライアン氏がロムニー氏に傾きつつある流れを守れるのか、それとも、バイデン副大統領が悪い流れを断ち切れるのかだ」と、ライス大学のマーク・ジョーンズ政治科学学部長は語っている。

ジョーンズ氏は、ロムニー・ライアン陣営の連邦政府債務削減策について、オバマ大統領が、詳細な内容を公開して中間層に負担を転嫁しないことを証明するようにロムニー氏を厳しく追及しなかったと指摘。

このため、バイデン副大統領は、ライアン氏に対しこのような追及を行うだろうと見ている。しかし、バイデン副大統領は、高圧的に映ったり、失言したりしてはならないとも付け加えた。

議員経験は長いが、初の全国規模の選挙で、討論経験も少ないライアン氏にとり、その責任は重大で、大変な緊張を強いられると見られている。

エモリー大学のウェイド教授は、ライアン氏にとっては、党としての方向性を明確に出来ていない共和党の中でその存在感を示せる大きなチャンスだとの見方を示す。

ライアン氏にはまた、ロムニー氏の影を薄くしないことも大切で、彼自身の債務削減策と、ロムニー氏の政策とにやや違いがある点にも討論会では注意しなければならない。

ライアン氏は、今回の討論会の難しさをよく理解している。ライアン氏はデトロイトのラジオ局WJRの番組で、オバマ大統領が1回目の討論会で大失敗をしたこともあり、民主党の新戦略は、中傷合戦を仕掛けて事実を歪曲し、選挙民を混乱させて不戦勝に持ち込むことだと語っている。

伝統的には、副大統領候補討論会は、大統領候補討論会の合間のなぎのようなものだったが、今年はかなり白熱しそうだと見られている。ウェイド教授によれば、両副大統領候補が積極的にやりあい、両大統領候補は一歩引いた位置から眺めるという役割分担も考えられそうだという。

第1回討論会 オバマ大統領とロムニー候補が直接対決

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