キッシンジャー氏死去、中国で追悼広がる 「最も大切な古い友人」

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キッシンジャー元米国務長官と会談する中国の習近平(シーチンピン)国家主席=7月20日、北京/CNS/AFP/Getty Images

キッシンジャー元米国務長官と会談する中国の習近平(シーチンピン)国家主席=7月20日、北京/CNS/AFP/Getty Images

香港(CNN) キッシンジャー元米国務長官の11月29日の死去を受け、中国で追悼の声が広がっている。中国外務省は30日、キッシンジャー氏が二国関係の確立に中心的な役割を果たしたことを念頭に、「米中関係の先駆者にして立役者」だったとたたえた。

中国外務省の汪文斌報道官は定例記者会見で弔意を示し、「中国国民はキッシンジャー博士の米中関係への誠実な尽力と重要な貢献を記憶にとどめるだろう」と述べた。

汪報道官によると、中国の習近平(シーチンピン)国家主席はバイデン米大統領に哀悼の意を伝えたという。

中国のSNSでも30日、キッシンジャー氏の死を悼む声が広がった。投稿内容の管理が厳しい「微博(ウェイボー)」では同氏の死去がトレンド最上位に浮上し、4億回あまり視聴された。

数千人の「いいね」が集まったトップのコメントには、「さようなら、中国国民の古い友人」とつづられている。

「歴史を動かした人物がついに歴史の一部になった」というコメントもあった。

米国や世界では、高い影響力を誇りつつも物議を醸す人物と見られていたキッシンジャー氏だが、中国では、米中外交関係樹立の地ならしに果たした役割から大きな尊敬を集めている。米中国交樹立は中国が再び世界と関わる重要な一歩となった。

キッシンジャー氏は1971年7月、米高官として初めて共産党中国を訪問。中国の指導者と秘密会合を行い、ニクソン大統領による翌年の画期的な訪中に道を付けた。

このニクソン氏の訪問をきっかけに、79年の米中国交正常化へとつながる扉が開いた。

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の中国ビジネスや経済の専門家、スコット・ケネディ氏は「20世紀でキッシンジャー氏ほど重要な外交官はいない。米中関係に関しては間違いなく、不朽の足跡を残した」との見方を示す。

キッシンジャー氏退任のはるか後年、中国政府は豊富な人脈を持つ同氏に目を付け、米政府内で強まる対中タカ派姿勢に対処する助けになりうる人物と見なした。関係が緊迫化した近年、中国国営メディアはキッシンジャー氏を称賛する報道をしてきたが、これは米政権の対中強硬姿勢に不快感を示すシグナルとみられる。

中国国営メディアはキッシンジャー氏と中国の友好関係を強調。半世紀で100回あまり訪中した点に言及した。中国国営中央テレビ(CCTV)は、同氏を米中関係の発展を見届けた「生きた化石」と評している。

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