トランプ氏の弁護団が会見、選挙の不正主張も裏付け欠く内容
一方、トランプ陣営に協力する弁護士のシドニー・パウエル氏は、投票機メーカーのドミニオン・ボーティング・システムズが提供する投票機で不正を働くソフトウエアが使用されていたと主張した。このソフトウエアのアルゴリズムにより、全米のトランプ票が一定の割合でバイデン票に書き換えられた可能性があるという。
しかし上記のような事象が発生したという証拠はなく、複数の連邦当局者が大統領選中に大規模な不正や不法行為はなかったと述べている。また大半の州では紙による投票が行われており、投票用紙を再集計して結果を二重にチェックすることが可能となっている。
パウエル氏はさらに、ドミニオンの上記のソフトウエアが南米ベネズエラのチャベス前大統領の指示で開発されたものだとも主張。自国での選挙結果を改ざんすることが目的だったとしている。このほかドミニオンについてはクリントン財団や、民主党の主要な支援者として知られる富豪のジョージ・ソロス氏ともつながりがあると語った。
パウエル氏によると、ドミニオンのソフトは同業のスマートマチックが提供したもので、ベネズエラの当局者から同社のソフトウエアが国内の選挙の結果改ざんに使われたとする証言を得ているという。証言は宣誓供述書とされる文書を通じて寄せられた。この当局者の氏名は明かされていない。
ただ証言が事実であることを示す証拠はなく、そもそもドミニオンの投票機がスマートマチックのソフトウエアを使用していたというパウエル氏の指摘自体裏付けがない。両社とも互いを競合相手だとし、いかなる企業間の関係もないと明言している。
両社を結び付けようとする主張の根拠は、複雑な企業再編にあると見られる。05年にスマートマチックはセコイア・ボーティング・システムズという企業を買収したが、連邦議員からベネズエラと関連のある企業の買収を問題視する声が上がり、07年に売却。その3年後にはドミニオンがセコイアを買収した。また、スマートマチックは09年にフィリピンでの機械の使用でドミニオンとライセンス契約を結んだが、結局訴訟となって契約は終了した。
ドミニオンは14年にクリントン財団のプログラムの一環で、新興の民主主義国家への技術提供に同意した事実があるものの、同財団とは「会社の所有権をめぐるいかなる関係も有していない」と声明で明らかにしている。またスマートマチックの親会社の取締役会長はソロス氏の財団の取締役にも名を連ねているが、ソロス氏本人はドミニオンとスマートマチックのいずれにも関与していない。