絶滅した飛べない鳥「ドードー」、再生プロジェクトの期待と課題

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モーリシャス島にあるブラックリバー渓谷国立公園
/Holger Hollemann/dpa/picture alliance/AP

モーリシャス島にあるブラックリバー渓谷国立公園 /Holger Hollemann/dpa/picture alliance/AP

ドードーの新居探し

コロッサルの研究所が研究を続ける中、MWFのチームは、ドードーの「新居」探しに取り組む。

MWFの保護担当ディレクターを務めるヴィカシュ・タタヤ氏によると、同財団は、生まれてくるドードーの最適な生息地を特定するための実現可能性調査を計画しているという。

現在検討されているのは、モーリシャス南西部に位置し、復元された森が点在するブラックリバー渓谷国立公園で、さらにモーリシャス本島周辺に浮かぶ自然保護区のロンド島とエグレット島も候補に挙がっている。

タタヤ氏によると、ロンド島とエグレット島にはドードーの天敵はいないが、モーリシャス本島にはネズミ、ネコ、イノシシ、犬、サル、マングース、カラスといった侵入生物種がおり、コロッサルのドードーが繁栄するためには、それらの動物の駆除、移動、管理が必要になる可能性があるという。

またMWFは、ドードーを一般の人々にも見てもらえる場所がいいと考えているが、ロンド島とエグレット島は居住者のいない無人島だ。そのためドードーの新たな生息地は複数になる可能性もある、とタタヤ氏は付け加えた。

インド洋のモーリシャス島近くに浮かぶ保護対象の島「エグレット島」。ドードーの生息候補地の一つに挙がっている/Ben Birchall/PA/AP
インド洋のモーリシャス島近くに浮かぶ保護対象の島「エグレット島」。ドードーの生息候補地の一つに挙がっている/Ben Birchall/PA/AP

かつてドードーは、他の鳥や植物、爬虫(はちゅう)類と共存し、共進化を遂げていたので、人的要因や外来の捕食動物さえ制御・管理すれば、ドードーは問題なく生息環境になじめるとタタヤ氏は考えている。

またドードーの復活が意外なプラス効果をもたらす可能性もある、とタタヤ氏は言う。

かつてドードーは大きな種のある果物を食べ、その種を散布する役割を果たしていた。しかし今、それらの植物の一部が絶滅の危機に瀕している。その原因について、ある仮説は、ドードーなどの大型種の絶滅により、それらの種が十分に散布されなくなり、発芽の条件が整わなくなったためと説明している。

一方、ロンドン自然史博物館の鳥類古生物学者でドードーの研究を行っているジュリアン・ヒューム氏は、ドードーが種子の散布に一役買う可能性は認めつつも、ドードーについてはほとんど何も分かっておらず、ドードーが生息環境とどのように関わっていたかを知るのは不可能だと主張する。

またヒューム氏は、仮にコロッサルがドードーを再生できたとしても、それはあくまで「ドードーのような」生物にすぎず、また小さなハトを大きな飛べない鳥にまで進化させるには何年もかけて選抜育種を行う必要があると指摘。

さらに、コロッサルが生み出す鳥は、いくつかのドードーらしき特徴を持っているにすぎず、野生で生きる術を生まれつき備えているわけではないとし、この鳥を根拠に行動や他の生活史的な特徴について何らかの結論を下すのは単純すぎる、と付け加えた。

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