インドの野生のトラ蘇る、倍増以上も 保護活動の成果誇示

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ラジャスタン州の国立公園のトラ=2020年/Himanshu Sharma/NurPhoto/Getty Images/File

ラジャスタン州の国立公園のトラ=2020年/Himanshu Sharma/NurPhoto/Getty Images/File

(CNN) インド政府は16日までに、国内に生息する野生のトラの個体数が過去数十年間の保護運動の成果で昨年、倍増以上となる3167頭に達したと報告した。

インドは野生のトラの最大の生息地だが、2006年までには過去最少の1411頭に減少し、絶滅も危惧されていた。世界自然保護基金(WWF)によると、3167頭は野生の環境で生き抜いているとされる世界全体の約4500頭の約7割を占める。

今回のトラ「復活」を示唆する報告は、インド政府が1973年に始めた保護活動事業の50周年に合わせて発表された。

インドのモディ首相も今回の報告に伴い、「兄弟とみなされることも多いトラと我々の付き合いには数千年の歴史がある」と演説。「人類のより良き将来は多様性の確保が維持されている場合のみ可能」とも説いた。首相はトラ保護区の2カ所も視察していた。

保護活動では事業の開始時に9カ所だった保護区を53カ所に拡大。対象の面積は約7万5800平方キロとなった。離ればなれとなっている生息地をつなげるため関係する村落に全面移転の補償金を支払うなどの手段も講じていた。

また、トラの個体数や移動の調査、活動の観察などを続けるためドローン(無人機)、監視用カメラ、制御や管理用のソフトウエアの活用にも踏み切っていた。

インドは1972年にトラの狩猟を公式に禁止した。ただ、密猟は依然、大きな脅威となっており、2005年に1カ所の保護区にいたトラが完全に消滅する原因ともなっていた。

WWFによると、トラは人口が急増した1940年代に急減し始めた。農地拡大、森林の伐採やインフラ建設が進み、縄張りとしていた土地が縮小した。トラの現在の生息地の広さはかつてのわずか7%に激減したともいう。

しぼむ生息地はトラと住民との遭遇が増えることを意味する。餌を求めて村落に入り込み、住民を襲う事例も多数ある。インドは人口が爆発的に拡大する固有の悩みも抱える。現在は約14億人で中国を抜いて世界最多の国となる勢いにある。

WWFは悪化する気候変動の危機が生息地に及ぼす影響も警告している。保護区などは「環境上、持続不可能な土地利用が進む広大な海の中で小さな島にすぎない」とも形容した。

ただ、インドでトラの個体数が復調したことは励みになる兆候だ。同国はトラが減りつつある諸国と保護の方途の共有にも取り組み始めた。タイ、カンボジア、マレーシア、バングラデシュやブータンと2国間協定を結び、保護に関する研究の場を開くなどしている。

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