なぜ米国で旅客列車が増えないのか

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シカゴの鉄道駅でミルウォーキー行きのアムトラックの車両の横に佇む車掌/Scott Olson/Getty Images

シカゴの鉄道駅でミルウォーキー行きのアムトラックの車両の横に佇む車掌/Scott Olson/Getty Images

ロサンゼルス(CNN) もし、あなたが鉄道の旅について、欧州やアジアを舞台にした映画の「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」や「ブレット・トレイン」で描かれるような、速くて、手軽で、どこにでもあり、魅力的でさえあるものだと考えているならば、米国がかつては世界最大の旅客列車大国だったと知れば、きっと驚くことだろう。全長25万4000マイル(約40万8000キロ)におよぶ大陸横断鉄道が全盛を誇った1世紀ほど前、米国は列車によって移動していた。

現在、米国の旅客鉄道網はかつての面影をとどめておらず、鉄道網の大部分は使われていないか、貨物列車のものとなっている。米国は20世紀の間に、注力する先と投資を旅客鉄道から自動車や飛行機による移動へと切り替えた。

しかし、それも変わり始めているのかもしれない。米国では最近、二酸化炭素(CO2)の排出量削減を進めるなかで、鉄道旅行を復活させようとする動きが活発になっている。

米国唯一の民間鉄道会社「ブライトライン」は2023年9月、フロリダ州のオーランドとマイアミを結ぶ路線を開通した。乗車時間は約3時間で、自動車で移動するよりも約1時間、移動時間を短縮できる。カリフォルニア州は、ロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶ路線に多額の投資を行っている。

フロリダ州で運行する民間鉄道会社「ブライトライン」の駅のホームを歩く旅行者/Carline Jean/South Florida Sun Sentinel/Tribune News Service/Getty Images
フロリダ州で運行する民間鉄道会社「ブライトライン」の駅のホームを歩く旅行者/Carline Jean/South Florida Sun Sentinel/Tribune News Service/Getty Images

「鉄道ルネサンス」の時が来たのかもしれない。航空機の利用を避ける「飛び恥」(フライトシェイム)と呼ばれる動きがCO2の排出を減らそうとしている人々の間で世界的に広がっている。運輸部門は米国の全部門の中で最も多くの温室効果ガスを排出しており、運輸省は鉄道が排出量の削減に重要な役割を果たす可能性があると指摘している。

鉄道を利用した旅行が米国で完全に時代遅れになっているわけではない。現在、全米鉄道旅客公社(アムトラック)が都市間を結ぶ鉄道旅行を主に提供している。鉄道網は2万1400マイル余りにのぼり、46州で運行されている。

専門家によれば、米国が、フランスや日本、中国といった国々に追いつき、高速鉄道や広範な鉄道旅行を実現するには、まだ長い道のりが待ち受けている。

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