使用済みの漁網、気候変動対策の一助となるか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
廃漁網をリサイクルする「循環型」ベンチャー企業を立ち上げたカイル・ドブテ氏/Paul Glader/CNN

廃漁網をリサイクルする「循環型」ベンチャー企業を立ち上げたカイル・ドブテ氏/Paul Glader/CNN

セーシェル・ビクトリア(CNN) カイル・ドブテ氏は漁網をリサイクルして作ったパタゴニア社のボードショーツを掲げてほほえんだ。そばでは作業員によって切断された使い古したナイロン製の網が7フィート(約2.1メートル)四方の1トン容器に積み重ねられていく。

「100%狙い通りだ」とドブテ氏は言い、未来の商品化の可能性を示した。

ドブテ氏が運営するブリコレ社は、商用マグロ漁から出る廃漁網をリサイクルする「循環型」ベンチャー企業だ。インド洋の島国セーシェルの首都ビクトリアの主要港に積み上げられた漁網の山を目にした同氏は、廃棄された網をリサイクルすれば生計が立てられる上に、ごみ処理や雇用の創出にもつながるのではとひらめいた。そしてセーシェルの人々を雇用し、漁網からバッグやハンモック、ボードショーツを作ることを思い描いた。

国連などの働きかけが多少成功し、先進国の大企業はサステイナビリティー(持続可能性)の目標に動いている。一方で開発途上国の中小企業も大いに重要だが、見過ごされがちだ。世界の商業活動の90%が中小企業によるもので、労働力の大部分を雇用しているものの、サステイナビリティーへの関与は低い傾向にあると研究者は指摘する。国連によると、世界経済に還元される使用済み素材の割合は2018年の9.1%から減少し、現在はわずか7.2%にとどまっているという。

小規模で単純な事業でもいいから、「可能な限りセーシェルに経済活動をもたらしたかった」とドブテ氏はCNNに語った。

インド洋に浮かぶ人口10万人前後の小国セーシェルは、115の島々から成る群島を130万平方キロメートルもの海が取り囲んでいる。政府幹部や省庁は日ごろから、気候変動対策や島の開発促進策を模索している。漁業、とくにマグロ漁が主要産業のため、こうした分野から手を付けるのが得策と考える人も多い。

漁網に活路を見出す

現在はスペイン、フランス、韓国など、各国から約48隻のマグロ漁船がセーシェル領海で操業している。巨大な網で毎年40万トン以上のマグロが捕獲され、そのうち約6万2000トンはビクトリアの工場で缶詰に加工される。観光業を除けば、マグロ漁は国内総生産(GDP)に占める割合が最も大きい。政府関係筋や研究者によると、マグロ漁はGDPの5%以上、総輸出の68%前後を占めている。

1マイル(約1.6キロメートル)長のナイロン製の網は定期的に摩耗し、造船所にうずたかく積み上げられ、ごみと化す。

ドブテ氏によれば、閣僚や漁業関係者、港湾当局も問題解決の必要性を理解し、一件単純そうに見える同氏のプロジェクトが運営面で困難に直面すると、「率先して口添えをしてくれた」という。

「環境問題」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]