ウクライナ議会、兵士の動員解除計画を破棄 軍増強の法案可決

ウクライナ兵士=4月、ウクライナ東部ドネツク州の基地/Wolfgang Schwan/Anadolu/Getty Images

2024.04.12 Fri posted at 10:58 JST

(CNN) ウクライナ議会は11日、軍に所属する兵士の数の増強を意図した法案を可決した。前線で長期間戦っている兵士らに交代、帰還の機会を与える計画を破棄した形だ。

ウクライナ軍の兵士は本来、36カ月以上従軍すれば動員が解除され、帰還できることになっていた。しかし今回採決された法案からは、そうした条項が削除された。ウメロウ国防相とシルスキー軍総司令官による介入の結果だと、国会議員らは明かしている。

11日に賛成多数で可決した法案には、徴兵逃れをより困難にするなど、軍が強く求める兵員増強を目的とした方策が数多く盛り込まれている。同法を巡ってはこの数カ月間で議論が交わされ、4269件の修正が施された。

新法により兵士らの賃金は上がり、休暇期間も長くなるが、戦場での配備を義務づける期限は設定されなかった。「戒厳令下での軍要員の交代」を改善するには政府が新たに法案を提出する必要があると法律は定めていることから、動員解除の問題は今後も動く公算が大きい。

軍事訓練を受ける新兵ら=ウクライナ・キーウの新兵募集センター

ウクライナ軍のソドル統合軍司令官は10日、国会議員らに対し「(ウクライナ東部での)敵の兵力は我が軍の7~10倍。兵員が足りない」と発言。法案の可決を強く求めていた。

11日には議会の外に兵士の妻や親類数十人が集まり、法案の可決に対する抗議活動を実施。動員解除の期限を法案に盛り込むよう要求した。

夫が2022年2月のロシアによる全面侵攻開始直後に軍に志願したというアナスタシア・ブルバさんはCNNの取材に答え、ウクライナ軍の兵士らには従軍の条件が示されていないと指摘。「いつ家族の下に帰れるのか、全く分からない」「国の守護者たちが欺かれている。国全体の独立は彼らにかかっているというのに」と訴えた。

砲兵部隊に所属する兵士の1人もCNNに対し、軍の士気を低下させる決定だとして法案可決への怒りを吐露した。

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