人懐こすぎて警察犬になれなかった救助犬、台湾地震の被災地で活躍 

捜索活動に派遣されたロジャー/Kaohsiung Fire Department

2024.04.10 Wed posted at 10:21 JST

台湾・台北(CNN) 人懐こすぎて麻薬探知犬になれなかったラブラドールレトリバー犬の「ロジャー」が、台湾を襲った地震の被災地で救助犬として活躍している。

3日に台湾を襲ったマグニチュード(M)7.4の地震発生を受け、現場にはすぐに救助犬が派遣された。

切り立った崖の多い台湾東部の沿岸部では、景勝地の国立公園で土砂崩れが相次ぎ、建物などに被害が出ている。

当局や現地のメディアによると、仲間の救助犬とともに現場に出動したロジャー(8)は、この地震で死亡した13人のうち1人の遺体発見に貢献した。

台湾中央通信社(CNA)によると、ロジャーは相棒のハンドラーと共に大きな被害が出ている太魯閣渓谷に入り、行方不明になっていた21歳の女性の遺体を発見した。

現場で活躍する救助犬の中でも特にロジャーが注目を集めたのは、過去に失敗したという経歴のためだった。

子犬だった頃のロジャー

生後間もなく麻薬探知犬の訓練所に入れられたロジャーは、遊ぶことと食べること、それに人間が大好きだったことから、気が散って訓練士の命令に集中できず、うまく反応できなかった。

このため麻薬探知犬としては失格になった。

しかし元気いっぱいで賢いロジャーの性格は、救助犬という仕事にぴったりだった。

ハンドラーと一緒にマスコミのインタビューに応じた際も、その元気さをフルに発揮して、尻尾を振りながら記者のマイクに飛びついた。


芝生に寝転んで遊ぶロジャー/Kaohsiung Fire Department

高雄市消防局の救助犬隊長によると、ロジャーは1歳の時に救助犬訓練所に転校した。「彼が良くなかったわけでも、仲間たちとうまくやれなかったわけでもない。ただ、麻薬探知犬に求められる条件として、落ち着きがなさすぎたり独立心が強すぎたりしてはいけない」と隊長は説明する。「一方で、救助犬にはまさにそれが求められる」

台湾のSNSでも救助犬の活躍は賞賛の的になり、「ロジャーは台湾の誇りだ」というコメントもあった。

ロジャーは今、地震現場で活躍するベテラン救助犬に成長した。台湾中央通信によると、2018年に同じ地域を襲ったM6.4の地震で現場にデビューして以来、これまでに7回の捜索救助活動に加わっている。

しかしロジャーが引退する日も近付いている。高雄市消防局は、救助犬が9歳になると、その犬にふさわしい家庭に引き取ってもらっているという。

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