夫婦殺害の死刑囚、執行直前に看守ら数十人が恩赦求める 米ミズーリ州

ブライアン・ドーシー死刑囚/Jeremy Weis

2024.04.08 Mon posted at 16:50 JST

(CNN) 米ミズーリ州で9日に死刑が執行される予定の男について、看守や職員など数十人がパーソン州知事に恩赦を求めている。男は著しい更生ぶりを見せており、死刑判決は不当だったと支援者側は主張する。

ブライアン・ドーシー死刑囚は2006年、いとこのサラ・ボニーさんと夫のベンジャミンさんを殺害した罪で死刑判決を言い渡された。恩赦を求める嘆願書では、ドーシー死刑囚が2人の殺害を深く悔いていると主張。当時ドーシー死刑囚は薬物による精神疾患や飲酒による記憶喪失の症状があり、第1級殺人罪で有罪を言い渡すために必要な条件には該当しないとしている。

それでもドーシー死刑囚は罪状を受け入れており、以来、拘置所での懲戒歴は一切なく、絶大な信頼が求められる看守の理髪師の仕事を続けているという。

恩赦の嘆願は看守ら70人あまりのほか、裁判を担当した陪審員5人、ミズーリ州最高裁の元判事、同州出身の共和党議員少なくとも3人が支持している。

嘆願ではさらに、ドーシー死刑囚の裁判を担当した弁護士2人について、「金銭的利益の相反」のために無力だったと主張。弁護士に支払われたのは一律の報酬1万2000ドルのみで、もしも死刑が求刑された事件で一般的な数千時間の労働をしていたとすると、時給約3.37ドルにしかならないと指摘した。

友人や家族の多くも死刑執行に反対して、パーソン知事に手紙で恩赦を求めているという。

一方で、被害者の遺族は今も死刑執行を支持している。サラ・ボニーさんの遺族はドーシー死刑囚について「困難な状況から抜け出すための安全な場所を与えられたのに、助けようとするその手を、愛する者に対する究極の裏切り行為に変えてしまった」とする声明を発表した。

幼い頃に両親を奪われたボニーさん夫妻の娘については、人生の大切な時に両親がいないまま成長しなければならなかったと訴えている。

一方、嘆願書では、ドーシー死刑囚らは永遠にボニーさん夫妻の死をいたみ続けるだろうとした上で、「どんな言葉もどんな努力もこの悲劇の痛みを和らげることはできない。我々の意図は、これ以上被害を増やすことではない。その逆だ」と訴えた。

ミズーリ州の男性死刑囚が収容されているポトシ矯正センター

嘆願書によると、ドーシー死刑囚は長い間、慢性のうつと闘っており、飲酒したりクラックコカインを使用したりして事件当時は離脱症状が出ていたという。

ミズーリ州最高裁判所の先月の判決によると、事件が起きたのは06年12月23日。ドーシー死刑囚はその数時間前、いとこのサラさんに電話で助けを求め、麻薬密売人2人が部屋に来ていて金を払わなければならないと訴えた。

サラさんとベンジャミンさん夫妻がドーシー死刑囚の部屋を尋ねると、密売人は立ち去った。夫妻は自分たちの家にドーシー死刑囚を連れて帰り、一緒に飲んだりビリヤードをしたりして過ごした。

ところがその夜遅く、ドーシー死刑囚は散弾銃を持って夫妻の寝室に入り、至近距離から2人を射殺した。

ドーシー死刑囚は夫妻の持ち物とサラさんの車を盗み、盗んだ物を売って借金を返そうとしたとされる。夫妻の遺体は翌日、サラさんの両親が発見した。当時4歳だった娘は家に1人で取り残されていた。

ドーシー死刑囚は12月26日に出頭し、第1級殺人で起訴されて、08年3月に罪状を認めた。死刑判決は上訴審でも支持された。

パーソン知事の広報は4日、CNNの取材に対し、恩赦の嘆願について検討していることを明らかにした。一般的には死刑執行の日の24時間前までに決定が発表される。

ドーシー死刑囚は今も州裁判所と連邦裁判所の両方に訴えを起こしており、これによって死刑執行が中止される可能性もある。死刑囚は一般的に、刑執行の直前まで訴訟を継続する。

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