翼胴一体型の「ブレンデッドウィング機」、実証機の飛行許可を取得 米ジェットゼロ

ジェットゼロのブレンデッドウィング機/JetZero

2024.04.05 Fri posted at 11:38 JST

(CNN) 米カリフォルニア州ロングビーチに拠点を置く新興企業、ジェットゼロはこのほど、翼胴一体型の「ブレンデッドウィング・ボディー」機の1対8スケールの実証機「パスファインダー」が米連邦航空局(FAA)から耐空証明を付与されたと発表した。試験飛行が間近に迫っているという。

航空業界は炭素排出量を削減する方法を懸命に模索中だが、他業界に比べ難しい課題に直面している。航空機の中核技術から脱却するのが非常に難しいことが判明したためだ。イノベーション(技術革新)の機は熟したといえる。

「ブレンデッドウィング・ボディー」機はB2爆撃機のような軍用機に採用された全翼機(フライングウィング)のデザインに似ているが、ブレンデッドウィングの方が中央部の容積が大きい。ボーイング、エアバス両社も開発を模索中だ。ジェットゼロは今回新たな節目に到達し、2030年にもブレンデッドウィング機を就航させるという同社の野心的な目標に一歩近づいた。

ジェットゼロの共同創業者であるトム・オリアリー最高経営責任者(CEO)は昨年8月、CNNの取材に「大型機の排出量ゼロに至る道筋に強い思い入れを持っている。ブレンデッドウィングの機体なら燃料の燃焼と排出を50%低減できる」「航空業界の従来の状況に比べめざましい前進だ」と語っていた。

ブレンデッドウィングのコンセプト自体は全くもって新しいものではない。こうしたデザインの航空機を開発する最初期の取り組みは、1920年代後半のドイツにさかのぼる。47年には、米国の航空機設計者で実業家でもあったジャック・ノースロップがジェット推進する全翼機のデザインを考案。これが90年代にB2爆撃機の着想源になった。

NASAの実験機「X48」

ブレンデッドウィングは全翼機と従来の「チューブ・アンド・ウィング機(円筒形の胴体と主翼からなる航空機)」の一種のハイブリッドで、機体全体で揚力を発生させて空気抵抗を最小限に抑える。米航空宇宙局(NASA)はこの機体形状について「燃費向上の助けとなるほか、機体中央部により大きな積載(貨物または乗客)スペースを生み出す」と指摘する。

NASAは同局の実験機のひとつ「X48」を使ってブレンデッドウィングの試験を実施してきた。

2007年から12年にかけて、無人かつ遠隔操作可能な2機のX48を使って120回を超える試験飛行を行い、このコンセプトの実現可能性を実証。NASAは「このタイプの航空機はボーイング747よりも翼幅(よくふく)がわずかに長いだけなので、既存の空港ターミナルで運用可能だ」「同程度に高度な既存の輸送機に比べ重量や騒音、CO2排出量が少なく、運用コストも安い」と言い添えた。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。