「ゾウ2万頭をドイツに送る」 狩猟標本輸出めぐりボツワナ大統領が「脅し」

ボツワナ・カラハリ砂漠のチョベ国立公園のゾウ=2023年10月13日/Murat Ozgur Guvendik/Anadolu/Getty Images

2024.04.04 Thu posted at 10:17 JST

(CNN) アフリカ南部ボツワナのモクウィツィ・マシシ大統領が、狩猟標本の輸出をめぐる論争に絡み、2万頭のゾウをドイツに送り付けると脅している。

「2万頭のゾウをドイツのために。これは冗談ではない」。マシシ大統領はドイツの大衆紙ビルトにそう語った。

マシシ大統領は、ボツワナでゾウが「過密」状態になっているにもかかわらず、ドイツが狩猟標本の輸入を禁止しようとしていると批判する。

ドイツ環境省は今年に入り、密猟の懸念を理由に狩猟標本の輸入を厳格に規制する方針を打ち出していた。

マシシ大統領はドイツのシュテフィ・レムケ環境相(緑の党)に矛先を向け、ドイツの緑の党は、ゾウの狩猟をせずにゾウと共存することを学べるだろうと揶揄。「ベルリンで座ってボツワナの我々のことに意見するのは簡単だ。我々は世界のためにこの動物を保護する代償を払っている。レムケ氏の党のためでさえある」と述べ、「我々にそうしろと言うのなら、この動物との共存を」試してみるべきだと訴えた。

マシシ大統領によると、ボツワナのゾウは約13万頭程度にまで増え、「過密」問題に対応するため、ボツワナはアンゴラに8000頭、モザンビークに500頭の提供を申し入れた。モザンビークはまだゾウを受け取っていないという。

「ドイツにもこうした贈り物をしたい」とマシシ大統領は述べ、「いらないとは言わせない」と言い添えた。

ボツワナのマシシ大統領は同国のゾウが13万頭まで増加していると述べた

ボツワナでは保護活動によってゾウの個体数が爆発的に増え、狩猟はゾウを抑制するための重要な手段になっていると大統領は指摘。ゾウに踏まれて人が死亡したり、作物が餌にされたり、集落が荒らされたりするなどの被害が出ており、象牙の輸出が禁止されればボツワナの窮状は一層深まると訴えている。

その上で、ボツワナは野生生物の保護に「世界中のどの国よりも」力を入れていると力説し、ドイツ環境相にボツワナを訪れて野生生物保護活動を視察してほしいと要望した。

ボツワナは、密猟や生息地の縮小によって減ったゾウの個体数を回復させるため、2014年に狩猟を禁止した。


ボツワナのマカディカディ湖盆地で見られるゾウ=2023年10月13日/Murat Ozgur Guvendik/Anadolu/Getty Images

しかし国内からの反発を受けて19年に禁止を撤廃し、年間の狩猟頭数割り当て方式に切り替えた。

ドイツ外務省は3日の定例記者会見で、この問題に関してボツワナからドイツ政府に懸念は伝えられていないと説明した。

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