スーダンに迫る「世界最大の飢餓」、人道支援は限界に 国連が対応呼びかけ

チャドとスーダンの国境付近にある難民キャンプを眺める子ども=2023年11月/El Tayeb Siddig/Reuters/File

2024.03.07 Thu posted at 14:30 JST

(CNN) 国連世界食糧計画(WFP)は6日、アフリカ北東部スーダンの情勢について、軍事衝突が「世界最大の飢餓危機」を引き起こし、2500万人以上が食糧不安の悪循環から抜け出せない状況に陥っていると指摘した。

WFPによると、スーダン全土で10人中9人が「緊急度の高い飢え」に直面し、「対立する勢力同士の絶え間ない暴力や妨害」のため、ほぼアクセス不能になった地域から抜け出せない状況にある。

国連によると、衝突の影響で世界最大の避難民危機も発生。スーダン国内で1800万人、隣国の南スーダンとチャドで数百万人が「深刻な食糧不安」に見舞われている。

「20年前にダルフールで起きた世界最大の飢餓危機では世界が結集して対応した。しかし今、スーダンの人々は忘れられている。何百万もの命と地域全体の平和と安定がかかっている」。WFPのシンディ・ヘンスリー・マケイン事務局長はそう訴えた。

スーダンでは昨年4月に国軍と対立する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で戦闘が発生して以来、数千人が殺害され、800万人が避難民となった。

双方が市民の殺害や民家の略奪、民族浄化にかかわったとして人道に対する罪で非難され、国外への大脱出を引き起こしている。

WFPは人道支援について「あまりのニーズの多さに追いつくことが難しくなった」と述べ、隣国2カ国での対応は「限界に達している」とした。

治安上の理由から多くの店が閉店している=1月、スーダン東部

チャドからスーダン西部ダルフールへの支援物資の輸送は、国境を越えるトラックの入国許可が地元当局に取り消されたために中断を強いられ、以後、状況が深刻化している。このルートでは昨年8月以来、100万人以上にWFPの支援物資が届けられていたという。

スーダンと南スーダンの国境にある移動拠点では、子ども5人中1人が栄養失調状態にあるといい、「新たに南スーダンに到着した難民は、人口の3%に満たないのに、壊滅的な飢えにさらされている人の35%を占める」(WFP)

米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は6日、最年少で14歳の少女がRSFの要員によってレイプされていることが国連の調査で裏付けられたと述べ、スーダン情勢に関する国連専門家委員会の最終報告書を読み上げた。

それによると、女性、妊婦、若者を含む民間人がRSFによって無差別に狙撃され、学校や病院、市場、政府庁舎、人道的物資などは主にRSFによって略奪されたり、対立する双方の砲撃や爆撃によって破壊されたりしている。

西ダルフールでRSFがマサリト族の住民を襲撃した「残虐な写真」もあるとトーマスグリーンフィールド大使は述べ、「この報告書がきっかけとなって、我々の目の前で起きている惨事への無関心から世界を突き動かすことを願う」として国際社会に行動を促した。

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