モスクワ(CNN) ロシアの首都モスクワで1日、獄中死した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の葬儀が執り行われ、警察の厳戒態勢や拘束の脅しにもかかわらず数千人の参列者が集まった。
葬儀会場となった教会にナワリヌイ氏の棺(ひつぎ)が到着すると、参列者は拍手しながらナワリヌイ氏の名前を連呼した。「プーチンは殺人者」「戦争反対」と叫ぶ人もいた。
プーチン大統領の最も手ごわい政敵だったナワリヌイ氏は先月16日、北極圏の刑務所で死亡した。47歳だった。世界の指導者から非難が集まり、ナワリヌイ氏の関係者からは殺人だと指弾する声が上がった。
ロシア大統領府はナワリヌイ氏の死に関して一切の関与を否定している。
ナワリヌイ氏のチームは、ロシア当局からの遺体の引き取りや葬儀会場の手配に苦慮した。葬儀は1日午後、モスクワのマリイノ地区にある教会で執り行われた。
その後、ナワリヌイ氏の遺体はボリソフ墓地に埋葬され、フランク・シナトラの往年の名曲「マイ・ウェイ」が流れる中で棺が地中に降ろされた。
墓地へ向かう道には群衆統制のためのフェンスが設けられ、両脇に数十台の警察車両が陣取った。現地からの動画には、屋上に配置された警官が増え続ける参列者の列を見下ろす様子が映っている。
葬儀に先立ち、ロシア大統領府のペスコフ報道官は国民に、無許可でナワリヌイ氏の追悼式を開催しないよう警告。参加者は「法律違反」とみなされると述べた。
葬儀開始の約20分前には、現地のCNN取材班からの中継が遮断されたとみられる場面もあった。ナワリヌイ氏のチームが用意したライブ配信フィードも中断した。CNNの中継は葬儀終了直後に再開した。
ロシア人女性のポリーナさんはCNN記者の取材に、ナワリヌイ氏の死は「悲痛な」出来事だが、これによりロシア人は明らかに団結したと語った。
プーチン大統領が2年以上前にウクライナ全面侵攻に踏み切って以降、ロシアでは反体制活動が実質的に違法とされている。ロシア当局は過激主義に当たるとしてナワリヌイ氏の運動を禁止しており、ナワリヌイ氏への支持を表明する行為には危険が伴う。
ナワリヌイ氏のチームは、葬儀中の教会内を撮影した写真を共有した。ナワリヌイ氏の遺体にバラが添えられ、ろうそくを手にした母親のリュドミラ・ナワルナヤさんが見守る様子が写っている。