モルドバ分離派地域の議員、ロシアに保護求める

トランスニストリアとロシアの旗を掲げて抗議する人々=2014年、ティラスポリ/Vadim Denisov/AFP/Getty Images

2024.02.29 Thu posted at 21:29 JST

(CNN) モルドバの東部にあり、親ロシアの分離派が支配するトランスニストリア(沿ドニエストル)の政治家らが、ロシアのプーチン大統領に対して自分たちの地域を保護するよう求めている。モルドバ政府からの脅威に直面しているという主張だ。

ソ連崩壊時に違法にモルドバから分離したトランスニストリアは、現在もなおロシア政府の強力な影響下にある。一方のモルドバは欧州連合(EU)への加盟を目指している。同国はウクライナと国境を接する。

28日に開かれた議会で、トランスニストリアの政治家らはロシア政府に向け、「増大するモルドバの圧力」からの防衛を求めた。クレムリン(ロシア大統領府)はこの後、自分たちの「同胞」を守ることは最優先課題だと述べた。ロシア国営メディアのRIAノーボスチ通信が報じた。


赤い地域がトランスニストリア。モルドバ国内の承認されていない分離派地域/Source: Encyclopedia Britannica Graphic: Natalie Croker and Lou Robinson, CNN

議会の動きを受け、ロシア政府が西側寄りの姿勢を強めるモルドバ政府に揺さぶりをかけるのではないかとの懸念が浮上したが、モルドバ側はこれを「宣伝工作」と一蹴した。

トランスニストリアを公式に承認している国はない。ロシアは数十年にわたり現地に駐留する軍隊を縮小しつつも維持し続け、現在の兵力は約1500人となっている。

トランスニストリアの議員らが会議に参加=28日、ティラスポリ

トランスニストリアの議会は2006年にロシアへの編入を問う住民投票を実施して以来、会議を開いていなかった。議会による28日の予想外の会議から、専門家らはロシアとの統合を求める新たな動きにつながる可能性を示唆した。モルドバとウクライナの当局者は、こうした見通しにはならないとの考えを示した。

トランスニストリアの議会で今回採択された決議では、ロシアに対して域内に住む22万人以上のロシア人に向けたより強力な「保護」を求めている。ロシア国営メディアのタス通信によると、決議はモルドバ当局による脅迫や圧力の存在を示唆する内容となっている。

モルドバ当局はトランスニストリアの議会について、「ヒステリー」をかき立てていると非難。当該地域における状況の激化、不安定化の危険は全くないとSNSのテレグラムに書き込んだ。

一方、米国務省の報道官は28日、「トランスニストリアにおけるロシアの行動並びに地域のより広範な状況について極めて緊密に注視している」と語った。


議会前に設置されたレーニンの胸像=2022年7月、ティラスポリ/Anton Polyakov/Getty Images

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