米NASAが「火星人」募集、その条件は シミュレーション空間で1年間生活

火星のシミュレーション空間で1年間生活する「火星人」の募集が行われている/Bill Stafford/NASA via CNN Newsource

2024.02.26 Mon posted at 16:00 JST

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)がいずれ火星に人類を送り込むことを想定して、火星のシミュレーション空間で1年間生活する「火星人」を募集している。

「CHAPEA」と呼ばれる火星シミュレーションは2025年春から第2弾が始まる予定。4人のボランティアクルーが米テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターにある火星居住空間「マーズ・デューン・アルファ」で1年間生活する。3Dプリンターで制作した居住空間は広さ約158平方メートル。将来的に火星に降り立つ宇宙飛行士の生活環境を想定している。

深宇宙で直面する課題に対するクルーの反応を探ることは、火星探査計画を立てる上では欠かせない。

マーズ・デューン・アルファの空間内で生活する参加者は、作物を育て、居住空間のメンテナンスを行い、運動したりロボットを操作したりしながら船外活動のシミュレーションを行う。装置の不具合や通信障害、環境ストレス、限られた資源といった現実の問題にも直面する。

応募受け付けは既に開始されており、締め切りは4月2日。

応募できるのは健康な30~55歳の米国人で、非喫煙者で英語が堪能であることが条件。「ユニークでやりがいのある冒険を強く望み、火星に向けた人類初の旅に備えるNASAの活動への貢献に関心を持っている必要がある」(NASA)

選考は宇宙飛行士の選考基準に沿って行われ、工学、数学、生物学、コンピューター、物理学などのSTEM分野または関連する医学などの修士課程修了を必須とする。宇宙飛行士の運動テストにも合格する必要があるほか、それぞれの専門分野で2年以上の実務経験、または1000時間以上のジェット機操縦経験が求められる。

CHAPEAミッションの第1陣の様子。「火星ウォーク」や作物の栽培を行っている

選考には最大で1年1カ月かかる見通しで、最終選考に残った候補者は医学、心理、精神テストを受けて、心理的にも体力的にも長期間の孤立ミッションに耐えられることを確認する。

食品アレルギーがあったり特定の医薬品を服用していたりする場合は選考対象から外れることがある。給与については選考の過程で告げられる。

昨年6月25日に始まったCHAPEAミッションの第1陣は7月6日に終了する。第1陣の目的は、火星生活で予想される課題に対応しながら限られた空間で暮らすクルーの健康状態や実績を観察・評価することにある。

現在参加しているのは研究科学者のケリー・ヘストン、構造エンジニアのロス・ブロックウェル、救急医のネイサン・ジョーンズ、微生物学者のアンカ・セラリウの4氏。

4人はこれまでに、屋内自家栽培システムを使って育てたグリーンレタスやパプリカ、トマトなどの作物を収穫したほか、火星の地表へ散策に出かけることを想定した広さ約111平方メートルの空間の中で「火星ウォーク」を何度も体験。生物学や物理学の実験や研究も続けている。

CHAPEAで得た教訓は、火星に送り込むクルーの健康を保ち、地球から遠く離れた火星での生活を支える物資やサポートの把握に役立てる。

ジョンソン宇宙センターの広報は「2番目のミッションも最初のミッションと同様に、参加者間の追加的データの収集を目標とする」と話している。

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