(CNN) アマゾンの熱帯雨林はこのまま行けば2050年にも重大な転換点を迎え、地域と世界による気候変動対策の能力に壊滅的な影響を与えるとみられる。14日に発表された研究で明らかになった。
アマゾンは6500万年にわたり、自然の気候変動に対する強靱(きょうじん)さを証明してきた。しかしここへ来て森林伐採と人間由来の気候危機が新たな水準の圧力をもたらし、向こう30年以内に大規模な森林システムの崩壊を引き起こす可能性があると研究では述べている。
研究者らの予測によれば今後アマゾンの10~47%が圧力にさらされ、そこに存在する生態系を重大な転換点へと押しやりかねない。その境界を一度越えると、悪影響の負の連鎖につながっていくという。
研究はブラジルのサンタカテリーナ連邦大学の研究者らが主導し、科学誌ネイチャーに掲載された。総体的手法を用い、アマゾンがどれだけ早くその境界に到達し得るかを推計した。
研究論文の著者らは気温上昇や極端な干ばつ、森林伐採、火災の影響を検証し、結論を導き出した。その結果、アマゾンの森林システムがどのようにして従来の想定より早く、自己増強的な崩壊の段階に突入し得るかが明らかになったという。
これまでの研究では、この規模の崩壊が今世紀中に起こり得るとは予測していなかった。
著者らによると、水ストレスがアマゾンに混乱をもたらす共通要因だという。水ストレスとは、人間や生態系の水需要に対する不足を意味する。
地球温暖化が水ストレスの影響に拍車をかけている。温暖化を受けてアマゾンの気候はより乾燥し、温度も上昇している。こうした状況は樹木の水ストレスを高める。とりわけ干ばつへの抵抗力が弱い北西部ではそうだ。重大な水ストレスに突然さらされれば、大規模な生物の死を引き起こしかねないと研究は警鐘を鳴らす。
そのような転換点に到達した場合、アマゾンの複数の地域は居住が不可能になる恐れがある。耐えがたい高温に加え、先住民や地域共同体が生活していくための資源が不足するからだと研究は指摘する。
研究では森林伐採の終了や森林再生の促進、保護地域の拡大などを推奨している。また国際的に協力し、温室効果ガスを削減する必要性も強調。アマゾン地域の国々が連携して森林再生を進める重要性も訴えた。