ロシアの戦争努力、「さらに2~3年」持続可能 国際戦略研究所

ロシアはウクライナでの戦争遂行努力を「さらに2~3年間」持続できると分析した報告書が発表された/Vladyslav Musiienko/Reuters

2024.02.15 Thu posted at 11:09 JST

(CNN) ロシアはウクライナでの戦争遂行努力を「さらに2~3年間」持続できると分析した報告書が、今週発表された。ただ破壊された、もしくは損傷した兵器の代わりが保管してある旧式の兵器になることから、今後は「量のために質を」犠牲にせざるを得ない状況に陥るという。

英国を拠点とする国際戦略研究所(IISS)がまとめた報告書によれば、ロシア軍はウクライナへの全面侵攻を開始した約2年前の時点よりもさらに多くの戦車を戦場で失っていると推計される。しかしそうした損失が「近い将来の戦闘の終結につながる」公算は小さいという。

「毎月平均数百台の装甲車両、大砲が失われているにもかかわらず、ロシアは稼働可能な在庫の数を安定的に維持している。旧式の兵器の再活用や、工業力の増強、国外からの購入を通じて損失に対応している」と、IISSは指摘する。

その上でロシアについて、「ウクライナへの攻撃をさらに2~3年間は維持できる。もっと長期にわたる継続も可能かもしれない」と推計した。

走行するロシアの戦車=2022年7月、ウクライナ・ドネツク州

ロシア軍は現在、1000キロ近くに及ぶ前線一帯で猛攻を展開。ウクライナ軍の前総司令官が昨年「膠着(こうちゃく)状態」と評した現状の打開を目指している。

一方で欧州連合(EU)は、3月までに155ミリ砲弾100万発をウクライナに供与するとしていたが、このままいけば目標を大幅に下回る見通しだと、IISSの報告書は指摘する。

報告書によるとロシアは過去1年だけで3000台以上の装甲戦闘車を失ったが、これは約1200台の主力戦車と約2500台の歩兵戦闘車並びに装甲兵員輸送車で穴埋めできる。こうした措置は「質より量を取る」ことを意味するものの、ロシアには新たな車両を製造する能力もあるという。

報告書はまた、国際社会からの制裁にもかかわらずロシア経済がその強靱(きょうじん)さを証明していると分析。2024年は国防費を増強しているとも述べている。

具体的には前年比60%超の増額で、軍事費の総額は今や国家予算の3分の1、国内総生産(GDP)の約7.5%に達する見込みだという。

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