ベスビオ火山噴火で炭化した巻物、文章を初めて解読 断層撮影やAI駆使

ベスビオ火山噴火で炭化した「ヘルクラネウムの巻物」の文章が初めて解読された/EduceLab/University of Kentucky

2024.02.08 Thu posted at 15:52 JST

(CNN) 米国などの大学の研究者がこのほど、西暦79年のベスビオ火山噴火で黒焦げになった「ヘルクラネウムの巻物」のほぼ完全な文章を解読した。2000年近く前の思想を垣間見せる発見となった。

「ヘルクラネウムの巻物」はベスビオ火山噴火による焼失を免れた数百点のパピルスの一つ。炭化しているため、巻物を開こうとすると崩れる状態で、何か書かれていたとしても肉眼ではほぼ判読不可能だった。

研究者らは今回、コンピューター技術や高度な人工知能(AI)を駆使することで、極めて脆(もろ)い文書を開封して損傷させる危険を冒すことなく巻物を分析できるようになった。解読コンペ「ベスビオ火山チャレンジ」を立ち上げたコンピューター科学者らの5日の発表によると、これまでに2000文字以上が解読されたという。

最初の単語は昨年10月、米ネブラスカ大学でコンピューター科学を専攻する学生ルーク・ファリター氏と、ベルリン自由大学の大学院生ユセフ・ネーダー氏が別々に解読した。今年に入ってチューリヒ工科大学のロボット工学専攻の学生ジュリアン・シリガー氏も加わり、この3人でコンテストの大賞の賞金70万ドルを獲得した。大賞は巻物内の四つの連続する文章の文字のうち85%を解読した最初のチームに与えられる。

3人は「バーチャル開封」と呼ばれる技術を活用して文章を解読した。コンピューター断層撮影(CT)を使って丸まった巻物をスキャンすることで、巻物をバーチャル上で平面化したり、高度なAIによりページ上のインクを探知したりすることが可能になった。3人がギリシャ文字を発見した後は、英仏伊から専門のパピルス学者が分析作業に加わった。

受賞チームが仮想的に平面化したパピルス

ベスビオ火山噴火の現場からは、1000点を超える炭化した巻物が回収されている。ベスビオ山はイタリアのナポリ近郊にある火山で、噴火により古代ローマの都市ポンペイとヘルクラネウムは火山泥に覆われた。米ケンタッキー大学によると、現在「ヘルクラネウムの巻物」と呼ばれる炭化した文書は、ユリウス・カエサルの義父の自宅から回収されたと考えられている。

解読された文章には、哲学者ピロデモスの記した言葉が書かれていた。ピロデモスは巻物が見つかった図書館のお抱えの哲学者だったとみられる。

ピロデモスは解読された文章の中で「快楽」について記し、手に入る物の豊富さが快楽の量に影響を与えるかどうかを考察している。最初の文章には「食べ物の場合と同じく、わずかしかない物の方が豊富に存在する物よりも断然大きな快楽を与えるとは、にわかには信じがたい」とある。

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