ウクライナ・オデーサ近郊(CNN) 命中したのはジェットスキーで駆動する水上ドローン6機のみ。これでロシアの誘導ミサイル艦を撃沈した。この攻撃にかかわったウクライナ軍特殊部隊の隊員が、希少なインタビューに応じて明らかにした。
ウクライナ国防省情報総局は今月1日、ロシアの小型艦「イワノベッツ」がクリミア半島の黒海に面した入り江でドローンに攻撃され、船体を損傷して沈没したと説明していた。
この攻撃にかかわったドローン操縦士の1人がCNNに語ったところによると、攻撃には「MAGURA」ドローン10機を使い、うち6機が命中してロシア軍艦を撃沈した。
MAGURAはジェットスキーで駆動するドローンで、全長わずか数メートル。だが航続距離は約800キロと長く、ウクライナの海岸線の広大な範囲からクリミア半島の標的に対する作戦を実行できる。
取材に応じたのはコールサインで「13」と呼ばれるドローン操縦士で、ウクライナ国防省情報総局の特殊部隊に所属する。同部隊はクリミア半島やロシア軍に対する数々の攻撃にかかわり、ドローンを使用するなどして通常兵器の射程をはるかに超えた距離から攻撃を展開してきた。
ウクライナ側が公開した夜間撮影の映像には、イワノベッツに接近するドローンに対してロシア軍が射撃する様子が映っている。ドローンは少なくとも2機が艦体の側面に衝突し、大きな爆発を引き起こした。
映像には衝撃的な場面もある。水面から突き出しているのは、ドヌズラフ湖に沈むイワノベッツの船首と思われる。
CNNはウクライナ側の主張について、独立した立場からの検証はできていない。ロシアはウクライナの主張について公式にはコメントしていない。
ドローンは目覚ましい威力を発揮するが、操縦には繊細さが求められると操縦士は言う。
「大切なのはドローンを感じること」「少しでも締め付ければドローンを制御できなくなる。言ってみれば宝石職人のようなもの」
スターリンクの衛星接続経由で遠隔操作するドローンは、黒海を横断する長距離飛行を事前にプログラミングすることもできる。
操縦士はドローンを継続的にモニタリングし、目標を攻撃する最終段階では手動で操縦することもある。
搭載する250キロの爆弾は300キロに増やすこともできるが「その必要はない」。ロシア黒海艦隊の最も頑丈な部類の艦船に対しても、ドローンの威力は実証されているという。
ドローンの全長はおよそ6メートル。水上に浮かぶと、守る側のロシア軍が狙い撃ちするのは難しい。
「特に外洋では非常に見つけにくい。海がしけるのでこの大きさの機体を制御するのは困難だが、敵が我々を攻撃するのはそれ以上に難しい」
ロシアの軍艦に搭載されている兵器はドローンを想定していない。このため標的とされたイワノベッツのような軍艦は、艦船同士の戦いに適した大砲を使わざるを得ない。
映像ではドローンがイワノベッツに迫る中、砲弾は水面に着水し、迫りくる爆弾を阻止することはできなかった。
黒海で行われたドローンのデモでは、CNN取材班の目の前で、イワノベッツを攻撃したのと同じドローンが自動操縦でスピードを上げて急旋回していた。ドローンは機敏な動きができるよう設計されていると操縦士は言い、「どんな軍艦にもドローンのような動きはできない」と強調した。
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