SNS大手5社のCEOが証言、被害者家族に謝罪も 米議会公聴会

米上院司法委員会の公聴会に臨んだ大手SNSの経営者ら/Andrew Caballero-Reynolds/AFP/Getty Images

2024.02.01 Thu posted at 16:37 JST

ワシントン(CNN) 米議会で1月31日、SNSが若者に与える悪影響についての公聴会が開かれ、メタやティックトックなど大手SNSの経営者に議員が厳しい質問を浴びせた。

上院司法委員会の公聴会ではメタ、ティックトック、スナップ、ディスコード、X(旧ツイッター)の最高経営責任者(CEO)が証言に立ち、メタのマーク・ザッカーバーグCEOなど2人は被害者の家族に謝罪した。

傍聴席にはSNSのために子どもが傷ついたり死亡したりしたと訴える被害者の家族らが詰めかけ、証言に立ったCEOや議員に対して拍手や嘲笑を浴びせたり沈黙を保ったりした。家族が被害に遭った子どもたちの写真を一斉に掲げる場面もあった。

ザッカーバーグ、シュピーゲル両CEOが謝罪

ザッカーバーグCEOは、「皆さんが経験された全てについて申し訳なく思います」と謝罪。「皆さんのご家族のような経験は、誰もすべきではありません。だからこそ我々は多額を投じ、業界を挙げて取り組みを継続します。もう誰も、あなた方の家族のような思いをすることがないように」と強調した。

この発言に応じてジョシュ・ホーリー議員(共和党)は、ビリオネア(保有資産10億ドル以上の富裕層)のザッカーバーグ氏に対し、子どもがフェイスブックやインスタグラムで被害に遭った家族に「補償」すべきだと迫った。

スナップのエバン・シュピーゲルCEOも、スナップチャットで薬物を購入して死亡した子どもたちの遺族に謝罪した。

「こうした悲劇を防げなかったことを本当に申し訳なく思います」とシュピーゲル氏は述べ、同社が子どもを守るために講じている対策について説明した。

10代ユーザーの生涯価値を270ドルとしたメタに抗議するTシャツを着た若者たち

ユーザーの個人情報利用に非難集中

マーシャ・ブラックバーン議員は、10代のユーザーの生涯価値を270ドル(約3万9000円)と見積もったメタの社内文書を示してザッカーバーグ氏を問い詰めた。

ブラックバーン議員に促されて立ち上がった傍聴席の若者たちは、「私には270ドル以上の価値がある」という文字の入ったシャツを着ていた。

ブラックバーン議員はザッカーバーグ氏とやり取りを続ける中で、「子どもたちはあなたの優先事項ではない。子どもたちはあなたの商品だ」と訴えている。

ジョン・ケネディ議員(共和党)は、メタのプラットフォームが「情報のキリングフィールド」になっていると述べ、ユーザーは「問題の一面しか見ていない」と主張。「あなたは20億人を超す人たちに、ありとあらゆる個人情報を提供させた。高校の友人が土曜の夕食に何を食べたか知ることと引き換えに」と指摘した。

フェイスブックがユーザーの情報から利益を得ていることを、ユーザーにはっきり説明しているのかと質問されたザッカーバーグ氏は、ユーザーはSNSの基本的な仕組みについて理解していると応じた。

しかしケネディ議員は「足元から不気味だ。フェイスブックのユーザーでさえない人たちを追跡している」と追及を続けた。

エイミー・クロブシャー議員(民主党)は、子どもがSNSの被害に遭ったという親の証言を紹介しながら感情を高ぶらせた。中にはSNSで恐喝されて自殺した若者もいた。

ティックトックのショウ・チュウCEO(奥)には天安門事件の定義を巡る質問も飛んだ

ティックトックCEO

ティックトックのショウ・チュウ(周受資)CEOは、親会社バイトダンスを通じた中国との関係や、中国政府が入手できる内容、中国政府の影響力について繰り返し質問された。

中国共産党の中国インターネット投資ファンドがバイトダンスの主要子会社の株式の1%を調達して同子会社の取締役の座を獲得し、その翌日に自身がティックトックのCEOに任命された経緯については、チュウ氏は「偶然」だったと強調した。

チュウ氏はシンガポール国籍で、1989年に北京の天安門で起きた虐殺事件を「大規模抗議運動」と表現。その後の証言の中で天安門事件を虐殺事件と言及した。

チュウ氏は過去の米議会証言で、ティックトックは天安門事件に関するコンテンツを認めていると説明していた。ティックトックは中国国内では運営されていない。

この日の公聴会は、SNS運営会社に対する批判で与野党双方の議員が珍しく一致した。

共和党のリンゼー・グラム議員は、民主党のエリザベス・ウォーレン議員について、自分との共通点は「ほとんどない」と述べ、ディック・ダービン議員とは政治理念が異なるとしながらも、SNSが社会に与える影響についての見解は一致していると説明。「エリザベスと私はこうした悪用に関して対応が必要だと見ている。ダービン議員と私は政治理念は異なるが、私はこの委員会でのあなたの活動を評価する。あなた方は素晴らしいパートナーだ」と演説した。

ただ、米議会はまだ、意味のあるSNS規制法案を通過させることができていない。

ほとんどの行動は州議会や法廷で行われており、SNSの年齢制限を含めた新しい政策が争点となっている。

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