観光客押し寄せるフィレンツェは「売春婦」 美術館長の発言が非難の的に イタリア

アカデミア美術館のセシリエ・ホルバーグ館長/Alessandra Tarantino/AP

2024.01.31 Wed posted at 15:30 JST

ローマ(CNN) イタリア・フィレンツェにあるアカデミア美術館の館長が、大勢の観光客が詰めかけるフィレンツェの現状を「売春婦」と形容し、非難の的になっている。館長はその後謝罪したが、この発言をめぐって辞任を求める声も強まった。

アカデミア美術館のセシリエ・ホルバーグ館長はドイツ人の美術史家で、2015年に館長に就任した。

「いったん売春婦と化した市が、再びバージンに戻るのは難しい」。同館長は29日、記者会見の場でそう語り、「普通の店はなくなった。小物や土産物を売る観光客向けの店しかない。これは食い止めなければならない」と強調した。

イタリアの文化相とフィレンツェ市長は即座に反応した。2人とも以前から、イタリアの美術館館長はイタリア人でなければならないと声高に訴えていた。

ホルバーグ館長は6月に任期切れを迎える予定で、今回の騒ぎの前から、契約を更新せずにイタリア人の館長を迎えるよう求める声が出ていた。

イタリア・フィレンツェの人気観光名所「ベッキオ橋」

14年、イタリアのダリオ・フランチェスキーニ文化相(当時)は、全ての美術館の館長職を外国人に開放した。これに対してジョルジャ・メローニ首相は、契約が切れた時点で是正すると表明している。

フィレンツェのダリオ・ナルデッラ市長は29日の議会演説で、フィレンツェは尊敬に値すると述べ、観光は数千人の雇用を生み出していると強調した。

ホルバーグ館長は発言を撤回し、自分はフィレンツェを愛していると強調。市や市民に不快な思いをさせる意図はなく、ただフィレンツェがベネチアなどのように、観光に「押しつぶされつつある」と言いたかったと釈明している。

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