東京(CNN) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、「ムーンスナイパー」の異名を取る月探査機「SLIM(スリム)」について、昨晩通信の確立に成功し、運用を再開したと発表した。ソーシャルメディアX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。
月面の新たな画像も複数撮影し、地球上のチームに送っているという。
無人機のSLIMは米東部時間19日午前10時20分(日本標準時20日午前0時20分)すぎに月面への精密着陸を果たしたが、降下中にメインエンジン1基の推進力が失われ、エンジンが上を向いた、ほぼ鉛直の姿勢での接地を余儀なくされた。
このため探査機の太陽電池は想定した上方ではなく西方向を向き、発電ができない状態になった。JAXAはバッテリーを温存するために探査機の稼働を停止。月面に当たる太陽の角度が変われば太陽電池が発電を開始し、自動的に再稼働するとしていた。
SLIMは当初、マルチバンド分光カメラで捉えた周辺の風景画像257枚を撮影。チームはこれらの画像を解析し、写り込んだ岩にはそれぞれ興味深いニックネームをつけて大きさの推計などを行っている。
JAXAが29日に共有した新たな画像は、「トイプードル」と名付けた岩石を近接撮影したもの。こうした岩石の調査から、月の起源を巡る洞察が明らかになる可能性がある。
現在JAXAはSLIMを駆使し、「神酒(みき)の海」と呼ばれる月の表側の地形について、前例のない情報を集めようとしている。