歓楽街で「女性には危険」とコメント、タイ警察が中国人インフルエンサー摘発

バンコクの夜の歓楽街「ナナプラザ」周辺/Andre Malerba/Bloomberg/Getty Images/File

2023.12.14 Thu posted at 12:05 JST

タイ・バンコク(CNN) タイを訪れていた中国人インフルエンサーの女性が、ビザ(査証)規定に違反したとして警察に摘発された。この女性は数日前、バンコク市内の歓楽街について、女性には危険と形容してタイで非難の的になっていた。

警察によると、摘発されたのはタイ国内を旅行していた中国国籍のジユ・ワン(28)さん。タイ滞在中にオンラインで商品を販売していたことが分かったとして、査証法違反の罪に問われた。

ワンさんは観光ビザで11月2日にバンコクに到着。「就労許可がないのにここで働いた」と警察は説明している。

タイはコロナ禍で途絶えた中国からの観光客を呼び戻そうとしているが、今回の事件は、自分が投稿したコンテンツが世間の反発を招いた場合、インフルエンサーが海外で罪に問われかねない現実を浮き彫りにした。


タイのメディア関係者に出迎えられる中国人旅行者=タイ・バンコクのスワンナプーム空港 /Jack Taylor/AFP/Getty Images

ワンさんは中国の動画投稿サイト「ドウイン(抖音)」などのSNSで300万以上のフォロワーをもつインフルエンサー。中国国内では利用できない西側のSNSにも投稿している。

問題の動画は今月5日、際どいアダルトバーが立ち並ぶバンコク市内の歓楽街「ナナプラザ」近くの通りを歩きながら、抖音に投稿した。

動画には、西洋人の男性数人がワンさんをじろじろ見つめるような様子が映っており、この場所は女性にとって危険だとワンさんはコメントしていた。この動画が拡散されるとタイ国民の多くは、タイのイメージが批判され、危険性が誇張されていると受け止めた。

中国人インフルエンサーのワンさん

数日後、ワンさんは警察に呼び出され、この動画を制作したことを認めた。当局によると、その後正式に謝罪し、タイの評判を傷つける意図はなかったと訴えたという。

「私の言葉が意図せず不快感を与え、誤解を招いてしまいました。ナナ地区とタイの皆さんに否定的な影響を与えたことを、深く悔いています」。ワンさんはフェイスブックに投稿した動画でそう謝罪している。

タイが中国人観光客を呼び戻そうとする一方で、中国のSNSは今年に入り、タイ訪問に関して安全面の不安を訴える声であふれ返った。旅行者が誘拐されてミャンマーやカンボジアに送り込まれ、詐欺の拠点で働かされるといううわさや不安が広まったことも一因だった。

東南アジアの架空の国を舞台にした映画2本が今年中国で公開されたことで、そうした不安はさらに増大した。2本とも、仕事ができるとだまされた人が、詐欺や組織犯罪に加担させられるという筋書きだった。

10月にはバンコク市内の商店街で起きた銃撃事件で中国人1人が殺害される事件が起きた。

ワンさんの動画は、ナナの通りを歩いているワンさんを外国人男性や客引きがじろじろ見たり、近寄って来たりする場面から始まる。バンコクは安全基準が欠如していると感じるとワンさんはコメントしていた。

スマートフォンを使うために道路脇で立ち止まったところ、外国人男性が近寄ってくる場面もあった。

すぐに男性を払いのけたワンさんは、「あの男性はあいさつして、『どうだい今日は』と聞いてきました。もしも連れ込まれたら、逃げられなかったでしょう」「だから女性が1人でここ(ナナ)に来るべきではないと感じます」

ワンさんはそう話し、「とても危険です。どんな人に出会うか分からないから。うろついている人の99%はいい人ではありません」とコメントしていた。

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